中日春秋
2014年7月10日
同じような痛みや不安、恐れに苦しんでいるのに、互いに分かり合うことはできない。見えない壁が相互理解を阻む。そういうことが世の中では、まま起きる
▼いまイスラエルとパレスチナの地で起きていることは、その一例だ。先月中旬、ユダヤ人の少年三人が誘拐された。眠れぬ夜を幾晩も過ごした家族に届いたのは、遺体発見の悲報だった。イスラエル政府はパレスチナの武装勢力の仕業だとし、報復を求める声が高まった
▼今月一日、今度は十六歳のパレスチナ人少年がさらわれた。母は携帯電話にかけ続けたが、応答はなく、遺体で見つかった。生きながら焼かれるという最期だった。ユダヤ人過激派が逮捕され、パレスチナ側で報復が叫ばれた
▼高まった緊張は、ロケット弾やミサイルの応酬にエスカレートしている。パレスチナのガザでは既に二十人を超える死者が出て、子どもたちも犠牲になっている。四人の少年の死が引き金となり、無数の悲劇を生み出しつつある
▼殺されたユダヤ人少年のおじが声を詰まらせつつ、英国のラジオ局の取材に語っていた。「流される血は同じです。暴力は歩むべき道ではありません。どんな神を信じていようが、だれが実行しようが、殺人は殺人。正当化などできないのです」
▼そんな声は、砲声にかき消される。報復の砲弾が飛び交うたび、憎悪の壁だけが高くそびえていく。
2014年7月10日
同じような痛みや不安、恐れに苦しんでいるのに、互いに分かり合うことはできない。見えない壁が相互理解を阻む。そういうことが世の中では、まま起きる
▼いまイスラエルとパレスチナの地で起きていることは、その一例だ。先月中旬、ユダヤ人の少年三人が誘拐された。眠れぬ夜を幾晩も過ごした家族に届いたのは、遺体発見の悲報だった。イスラエル政府はパレスチナの武装勢力の仕業だとし、報復を求める声が高まった
▼今月一日、今度は十六歳のパレスチナ人少年がさらわれた。母は携帯電話にかけ続けたが、応答はなく、遺体で見つかった。生きながら焼かれるという最期だった。ユダヤ人過激派が逮捕され、パレスチナ側で報復が叫ばれた
▼高まった緊張は、ロケット弾やミサイルの応酬にエスカレートしている。パレスチナのガザでは既に二十人を超える死者が出て、子どもたちも犠牲になっている。四人の少年の死が引き金となり、無数の悲劇を生み出しつつある
▼殺されたユダヤ人少年のおじが声を詰まらせつつ、英国のラジオ局の取材に語っていた。「流される血は同じです。暴力は歩むべき道ではありません。どんな神を信じていようが、だれが実行しようが、殺人は殺人。正当化などできないのです」
▼そんな声は、砲声にかき消される。報復の砲弾が飛び交うたび、憎悪の壁だけが高くそびえていく。