中日春秋
2014年2月5日
江戸の昔の人たちは、いろいろなものに美や色っぽさを発見したようだ。「目病み女に風邪ひき男」。オツな病気として女性は目の病、男は風邪と挙げている
▼女性が赤い布で目をちょっちょっと押さえる姿が色っぽく映ったという。熱に目を潤ませた男が「熱があっていけねえや」とかすれ声を出せば、世話狂言の二枚目となる
▼こっちの方は深刻である。インフルエンザが猛威をふるう。「警報レベル」の地域も増え、流行のピークが迫る
▼医者にかかって寝ているしかないが、患えば、気弱になる。「誰か」にいてもらいたくなるものだ。ちょっとの熱にもうめく人もいるが、あれは、「誰か」に甘えて心細さを解消しているのだろう。覚えがある。「誰か」にうめくと、少しは楽になる
▼良寛和尚だって「誰か」にうめきたかった。<寒熱 早々として別れ/血脈 混々として乱る>。一人暮らしの良寛には病の辛(つら)さを隠さず訴える詩や歌がいくつもある。中野孝次さんが書いている。「苦しい、心細いと歎(なげ)き歎き、自分の弱さをさらけだして、ようやく(病を)凌(しの)いだのである」(『風の良寛』)
▼良寛のように孤独にインフルエンザの病状にうめいている一人暮らしの方、特に高齢者が心配である。困っている人の「誰か」になる。そんな人こそ美しく、二枚目で、鯔背(いなせ)なのだろうが。と世間をちょっとおだててみる。
2014年2月5日
江戸の昔の人たちは、いろいろなものに美や色っぽさを発見したようだ。「目病み女に風邪ひき男」。オツな病気として女性は目の病、男は風邪と挙げている
▼女性が赤い布で目をちょっちょっと押さえる姿が色っぽく映ったという。熱に目を潤ませた男が「熱があっていけねえや」とかすれ声を出せば、世話狂言の二枚目となる
▼こっちの方は深刻である。インフルエンザが猛威をふるう。「警報レベル」の地域も増え、流行のピークが迫る
▼医者にかかって寝ているしかないが、患えば、気弱になる。「誰か」にいてもらいたくなるものだ。ちょっとの熱にもうめく人もいるが、あれは、「誰か」に甘えて心細さを解消しているのだろう。覚えがある。「誰か」にうめくと、少しは楽になる
▼良寛和尚だって「誰か」にうめきたかった。<寒熱 早々として別れ/血脈 混々として乱る>。一人暮らしの良寛には病の辛(つら)さを隠さず訴える詩や歌がいくつもある。中野孝次さんが書いている。「苦しい、心細いと歎(なげ)き歎き、自分の弱さをさらけだして、ようやく(病を)凌(しの)いだのである」(『風の良寛』)
▼良寛のように孤独にインフルエンザの病状にうめいている一人暮らしの方、特に高齢者が心配である。困っている人の「誰か」になる。そんな人こそ美しく、二枚目で、鯔背(いなせ)なのだろうが。と世間をちょっとおだててみる。