中日春秋
2013年12月30日
 じゃんけんで決める。大人の社会でもよくある。寒い中、コーヒーを誰が買いに行くのか。嫌な仕事は誰が。大人が子どものように「最初はグー」とやっている。悪い光景ではない
▼じゃんけんの歴史は平安期からというが、紙、はさみ、石などの「三すくみ」を利用した現在のじゃんけんが広がったのは江戸期と比較的新しいようだ
▼『拳の文化史』(セップ・リンハルト著)によるとじゃんけんの「じゃ」は蛇。大当たりを取った、歌舞伎の「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)」の大ガマの人気で、蛇、カエル、ナメクジのじゃんけんが流行したそうだ
▼誰だって勝ちたいと思うが、必勝法はない。緊張すると拳を握りやすいのでパーが有利とも聞くが、当てにならない。気分が悪いのは後出しである
▼東京都知事選は辞職した猪瀬直樹さんの後任選びで全国的に注目されるが、出馬を表明したのは宇都宮健児さんだけで、噂(うわさ)の人物たちは沈黙し後出しを狙っている。都知事選にとどまらない。後出しは選挙戦術として、定着しつつある
▼早く手を挙げるとあら探しをされる。遅い方がインパクトが大きい。先に出た候補の主張を分析する時間が稼げる…。知名度がそこそこある人なら、後出しにはいろいろ利点がある。一方、有権者は、出る人の考えを早く知りたい。吟味したい。戦術とはいえ後出しには器の小ささを見せる危険もある。