中日春秋
2013年11月24日
 政治と宗教と野球の話はしない方がいい。特に初対面の人、公の場では-。野球はともかく、政治も宗教も下手に口にすれば、口論になるので避けた方がいいという「知恵」だろう
▼起源は「党派対立」が伝統的に根強い米国かもしれない。「君たちが全員、共和党支持者だといいなあ」。一九八一年三月、銃撃されたレーガン米大統領は手術直前、医師団にこう言った。実話である
▼もちろん冗談だが、共和党出身のレーガンさんとしては確認しておきたかったのかもしれない。医師団の答えがちょっと怖い。「ええ、本日に限り、共和党支持者ですよ」
▼どうも日本もそんな国に向かっている気配がある。原発再稼働、沖縄、TPP、消費税、特定秘密保護法案。国民の間で意見が分かれる問題を政治は次々と放ってくる。その問題の箱から、黒いガスが広がっている気がしてならない
▼黒いガスに触れると人は考えの異なる人を憎むようになる。この人は原発を、特定秘密保護法案をどう考えるのか。自分とは違うみたいだぞ。どこかへ消えろ
▼古代ローマの分断統治を狙っているとは思わないが、国民を憎み合わせることで得をするのはだれか。党派や政策の是非で医者を選ばなければいけない時代なんて、まっぴらである。「平和と愛と理解のなにがそんなにおかしい?」。エルビス・コステロの古い曲が聴きたい。