中日春秋
2013年11月21日
作家の清水義範さんに、「バールのようなもの」という短編小説がある。犯罪報道で使われる「犯人はバールのようなものでこじ開け…」という表現の「バールのようなもの」とは一体どんなものなのか。主人公は、探求に取りつかれる
▼「だから、何かバールみたいなものなんだろう」と言う指摘には、こんなふうに反論する。「ダニと、ダニのようなやつ、は同じではない」。言葉と思考の迷路に引きずり込まれるような展開の末、正真正銘の「バールのようなもの」を手にした主人公の身に起きるのは…というユーモア小説だ
▼きのう最高裁は、昨年末の衆院選での一票の格差は、「違憲状態」だと判断した。確かに格差は目に余るが、それを正すにはもう少し時間がかかろう…違憲とまでは言わず、「違憲のようなもの」としておこうという訳だ
▼だが、国会での議論のありようを振り返れば、お寒い限りだ。さすがに高裁もあきれ、十六件の判決のうち十四件が違憲と断じて、国会に猛省を促していた。選挙無効の判決まで出た
▼それでも国会では、選挙制度の抜本改革のための論議が進まず、どうにか小手先の修正をしただけ。「是正措置のようなもの」が為(な)されただけなのに、最高裁は国会の働きぶりに合格点を付けた
▼果たして最高裁は「憲法の番人」なのか。それとも「憲法の番人のようなもの」なのか。
2013年11月21日
作家の清水義範さんに、「バールのようなもの」という短編小説がある。犯罪報道で使われる「犯人はバールのようなものでこじ開け…」という表現の「バールのようなもの」とは一体どんなものなのか。主人公は、探求に取りつかれる
▼「だから、何かバールみたいなものなんだろう」と言う指摘には、こんなふうに反論する。「ダニと、ダニのようなやつ、は同じではない」。言葉と思考の迷路に引きずり込まれるような展開の末、正真正銘の「バールのようなもの」を手にした主人公の身に起きるのは…というユーモア小説だ
▼きのう最高裁は、昨年末の衆院選での一票の格差は、「違憲状態」だと判断した。確かに格差は目に余るが、それを正すにはもう少し時間がかかろう…違憲とまでは言わず、「違憲のようなもの」としておこうという訳だ
▼だが、国会での議論のありようを振り返れば、お寒い限りだ。さすがに高裁もあきれ、十六件の判決のうち十四件が違憲と断じて、国会に猛省を促していた。選挙無効の判決まで出た
▼それでも国会では、選挙制度の抜本改革のための論議が進まず、どうにか小手先の修正をしただけ。「是正措置のようなもの」が為(な)されただけなのに、最高裁は国会の働きぶりに合格点を付けた
▼果たして最高裁は「憲法の番人」なのか。それとも「憲法の番人のようなもの」なのか。