中日春秋
2013年11月6日
ロシアに来たアフリカ人が、故郷に手紙を書いた。「ロシアには、白い冬と緑の冬があります。緑の冬はまだ耐えられますが、白い冬と言ったら…」。かの地では、木々の緑が広がる春夏秋も十分寒いという冗談だ
▼それに比べ日本の春と秋の過ごしやすさは…と誇りたいところだが、最近の春秋はどうだろう。西日本から北日本にかけての先月上旬の平均気温は、半世紀で一番高かったそうだ
▼名古屋を例にとれば、今年最初に真夏日となったのは五月十四日で、十月十日までに八十八日もの真夏日が記録された。最多記録である。長い長い夏を乗り越え、ようやく過ごしやすくなったと思ったら、もう明日は立冬だ
▼この国の春夏秋冬の移り変わりの美しさは豊かな詩歌を生む源泉となったが、小倉百人一首の撰者(せんじゃ)でもある鎌倉初期の歌人藤原定家は、安貞元年(一二二七年)の秋、日記『明月記』にこう記した。「末代に於(お)いては、ただ夏冬ありて春秋なし」
▼異常気象が繰り返され、世も乱れに乱れた時代に生きた歌人は、このままでは厳しい夏冬ばかりで春秋はなくなってしまうとこぼし、「これは人間界の罪の報いによるもの」と書いた
▼定家に、二十一世紀の世は人間が出す温室効果ガスの影響もあって、季節のめぐりに異変が起きやすくなってきていると伝えたら、「まさしく世も末なり」と嘆くだろうか。
2013年11月6日
ロシアに来たアフリカ人が、故郷に手紙を書いた。「ロシアには、白い冬と緑の冬があります。緑の冬はまだ耐えられますが、白い冬と言ったら…」。かの地では、木々の緑が広がる春夏秋も十分寒いという冗談だ
▼それに比べ日本の春と秋の過ごしやすさは…と誇りたいところだが、最近の春秋はどうだろう。西日本から北日本にかけての先月上旬の平均気温は、半世紀で一番高かったそうだ
▼名古屋を例にとれば、今年最初に真夏日となったのは五月十四日で、十月十日までに八十八日もの真夏日が記録された。最多記録である。長い長い夏を乗り越え、ようやく過ごしやすくなったと思ったら、もう明日は立冬だ
▼この国の春夏秋冬の移り変わりの美しさは豊かな詩歌を生む源泉となったが、小倉百人一首の撰者(せんじゃ)でもある鎌倉初期の歌人藤原定家は、安貞元年(一二二七年)の秋、日記『明月記』にこう記した。「末代に於(お)いては、ただ夏冬ありて春秋なし」
▼異常気象が繰り返され、世も乱れに乱れた時代に生きた歌人は、このままでは厳しい夏冬ばかりで春秋はなくなってしまうとこぼし、「これは人間界の罪の報いによるもの」と書いた
▼定家に、二十一世紀の世は人間が出す温室効果ガスの影響もあって、季節のめぐりに異変が起きやすくなってきていると伝えたら、「まさしく世も末なり」と嘆くだろうか。