中日春秋
2013年10月29日
 英国の喜劇俳優が、米国を評して曰(いわ)く。「わが国と米国の違いとは、つまりこういうことだ…英国でワールドシリーズを催すとしたら、我々なら他の国にも参加を求めるだろう」
▼いくら野球の本場とはいえ、国内チャンピオンを決める試合を、ワールドシリーズつまり世界一決定戦と称してはばからぬ感覚。そのお山の大将ぶりを揶揄(やゆ)したジョークだが、やはり世界は米国の掌(たなごころ)の上にあるというのが、米政権の感覚なのだろう
▼米国の情報機関が、世界各国の指導者三十五人の電話を盗聴していたと、英紙ガーディアンが報じた。ドイツのメルケル首相にいたっては、十年余も携帯電話を盗聴され続けたという疑惑が持ち上がり、友への裏切りだとカンカンに怒っている
▼安全保障という大義名分の陰で、同盟国まで丸裸にしようとする。盟友の人権も、プライバシーも、知ったことではない。米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員による法を犯しての告発で、米政府が「秘密」を集める手口が、次々に明らかになってきた
▼安倍政権が今国会で成立を目指している特定秘密保護法案は、そんな米国と秘密を共有するため、かの国から強く促されて作ったという
▼法案を読めば、何が特定秘密かを指定するのは閣僚ら「行政機関の長」と書いてあるが、ひょっとしてこれは「米国の行政機関の長」のことではないのか。