中日春秋
2013年8月16日
 中国版ツイッターでのフォロワーが百五十万人を超え、「中国で最も有名な日本人」と呼ばれる国際コラムニストの加藤嘉一さん(29)は昨年八月、九年半を過ごした中国を離れて、米ハーバード大ケネディスクールのフェローになった
▼その直後に起きたのが尖閣諸島の国有化に抗議する激しい反日デモだ。「中国に残っていたら、命が危なかった」と加藤さんは多くの友人から聞かされたそうだ
▼中国の事情を肌で知る加藤さんは米国でも引っ張りだこだが、意見交換を重ねてきた米国の研究者は安倍政権の歴史認識に懸念を示しているという
▼尖閣問題で米国は日本を支持できるが、安倍晋三首相が靖国神社を参拝すれば歴史問題となり、守り切れなくなる。その結果、米中が接近する-という忠告だ。同様のメッセージは当然、米政府側から政権に伝わっているだろう
▼安倍首相は八月十五日の靖国神社参拝を見送った。第一次政権での参拝見送りを「痛恨の極み」と振り返り、春の例大祭の閣僚参拝に中国、韓国が抗議したことに「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と言い切った首相である。関係悪化を懸念する米政府への配慮を感じさせる
▼全国戦没者追悼式の式辞で、安倍首相は歴代首相が言及したアジア諸国に対する加害への反省には触れなかった。関係を一層こじらせるタネを自らまく理由を知りたい。