中日春秋
2013年8月3日
一八九六年にアテネで開催された第一回の近代五輪で、水泳は四種目で競われた。100メートル、400メートル、1200メートルの男子自由形と、100メートル自由形・水兵の部である
▼この時の400メートルの優勝タイムは8分12秒6。現在の世界記録は3分40秒07。とてつもない進歩だ。もっとも第一回大会での自由形で、選手らはどうも今のようなクロールでは泳いでいなかったようだ
▼両手で交互に水をかき、ばた足で進む泳法が大会に登場したのは、一九〇二年らしい。豪州の十五歳の少年が、ソロモン諸島の先住民の泳ぎに倣ったという斬新な泳法で、観衆を驚かせた
▼当時それは「泳者は水の中にいるというより、水の上を這(は)って登っているよう」と評された。「這う」は英語で「クロール」。「豪州流這い泳ぎ」は最速の泳法として、自由形を席巻していく(『なぜ人間は泳ぐのか?』太田出版)
▼日本では、十八歳の少年が新たなページを開いている。体格が特にモノを言う自由形で日本人は活躍できないとされてきたが、萩野公介選手が、世界選手権の400メートル自由形と200メートル個人メドレーで、銀メダルに輝いた
▼勝負強い泳ぎと同様に、その言葉も実に鮮やかだ。「『日本人は(自由形で活躍)できない』なんて、一度たりとも、思ったことはない」。先入観という古い殻を突き破っていく、まさに「自由形」の十八歳だ。
2013年8月3日
一八九六年にアテネで開催された第一回の近代五輪で、水泳は四種目で競われた。100メートル、400メートル、1200メートルの男子自由形と、100メートル自由形・水兵の部である
▼この時の400メートルの優勝タイムは8分12秒6。現在の世界記録は3分40秒07。とてつもない進歩だ。もっとも第一回大会での自由形で、選手らはどうも今のようなクロールでは泳いでいなかったようだ
▼両手で交互に水をかき、ばた足で進む泳法が大会に登場したのは、一九〇二年らしい。豪州の十五歳の少年が、ソロモン諸島の先住民の泳ぎに倣ったという斬新な泳法で、観衆を驚かせた
▼当時それは「泳者は水の中にいるというより、水の上を這(は)って登っているよう」と評された。「這う」は英語で「クロール」。「豪州流這い泳ぎ」は最速の泳法として、自由形を席巻していく(『なぜ人間は泳ぐのか?』太田出版)
▼日本では、十八歳の少年が新たなページを開いている。体格が特にモノを言う自由形で日本人は活躍できないとされてきたが、萩野公介選手が、世界選手権の400メートル自由形と200メートル個人メドレーで、銀メダルに輝いた
▼勝負強い泳ぎと同様に、その言葉も実に鮮やかだ。「『日本人は(自由形で活躍)できない』なんて、一度たりとも、思ったことはない」。先入観という古い殻を突き破っていく、まさに「自由形」の十八歳だ。