中日春秋
2013年5月12日
家庭料理が職人の料理にまさるのは、味のぶれであると、作家の村松友視さんが以前、ある女性に聞いた味わい深い言葉をエッセーで紹介していた。プロがつくる料理にはぶれは許されないが、家庭での料理はぶれこそが勝負だという
▼ご飯やみそ汁、焼き魚、煮物、漬物…。毎日、似たような献立が続いても飽きない。「きのうのゴハンと今日のゴハン、きのうの焼き魚と今日の焼き魚は、まったく別ものであり、その微妙な変化が同じ献立の持続を可能にさせているというのだが、なかなか含蓄のある見定めだと思ったものだ」
▼村松さんは、土鍋でご飯を炊くことに凝ったことがある。火加減や蒸らし方で生まれる微妙なぶれを楽しむ。長い旅で留守にすると、奥さんから「わが家の飯炊き男がいなくて不便だったわ」と軽口をたたかれたそうだ
▼意識をしているかどうかは別として、家庭の味の微妙な変化を演出しているのは主にお母さんだ。毎日、栄養を考えて、献立を工夫する苦労は並大抵ではない。頭が下がる
▼外食が多くても手づくりのお弁当や家で食べるいつもの献立が恋しくなる。「愛情が一番のスパイス」というのも誇張した表現ではないだろう
▼<母の日のてのひらの味塩むすび>鷹羽狩行。コンビニエンスストアで売っているおにぎりのように見栄えは良くなくても、お金で買えないものがある。
2013年5月12日
家庭料理が職人の料理にまさるのは、味のぶれであると、作家の村松友視さんが以前、ある女性に聞いた味わい深い言葉をエッセーで紹介していた。プロがつくる料理にはぶれは許されないが、家庭での料理はぶれこそが勝負だという
▼ご飯やみそ汁、焼き魚、煮物、漬物…。毎日、似たような献立が続いても飽きない。「きのうのゴハンと今日のゴハン、きのうの焼き魚と今日の焼き魚は、まったく別ものであり、その微妙な変化が同じ献立の持続を可能にさせているというのだが、なかなか含蓄のある見定めだと思ったものだ」
▼村松さんは、土鍋でご飯を炊くことに凝ったことがある。火加減や蒸らし方で生まれる微妙なぶれを楽しむ。長い旅で留守にすると、奥さんから「わが家の飯炊き男がいなくて不便だったわ」と軽口をたたかれたそうだ
▼意識をしているかどうかは別として、家庭の味の微妙な変化を演出しているのは主にお母さんだ。毎日、栄養を考えて、献立を工夫する苦労は並大抵ではない。頭が下がる
▼外食が多くても手づくりのお弁当や家で食べるいつもの献立が恋しくなる。「愛情が一番のスパイス」というのも誇張した表現ではないだろう
▼<母の日のてのひらの味塩むすび>鷹羽狩行。コンビニエンスストアで売っているおにぎりのように見栄えは良くなくても、お金で買えないものがある。