中日春秋
2013年4月24日
リョコウバトは、とても美しく、しかもなかなか美味な鳥らしい。しかし、もう見ることも味わうこともできない。今から九十九年前に、最後の一羽がこの世を去ったのだ
▼『絶滅野生動物の事典』(今泉忠明著、東京堂出版)によれば、北米大陸にすむリョコウバトは、鳥の歴史が始まって以来、最も数多くいたといわれる。一説に、五十億羽。渡りの季節となれば、空が真っ黒になるほどだった
▼だが、十九世紀以降、味がよく羽毛も良質なリョコウバトは、年に数十万羽が殺されていった。十九世紀後半になると、保護する動きも出始めたが、機を逸し、わずか百年で世界から消えた。いや正確には、抹殺されたのだ
▼インド洋のマスカリン諸島にすむ飛べない鳥ドードーは、もっとあっけなく絶滅した。島に上陸した西欧の船乗りたちは、肉を食料にしただけでなく、人を恐れないこの鳥を娯楽として殴り殺したという
▼人類が登場する前には、五十年から三百年に一種の鳥が絶滅したとされる。それが今や、絶滅の速度は二年半に一種にまで速まっているらしい
▼英語でドードー鳥という言葉には、「時勢に疎い人」「まぬけ」といった意味がある。そんな不名誉な比喩として名を残すドードーの骨がきょう、ロンドンで競売に掛けられる。人間の傲慢(ごうまん)と愚行を象徴するようなその骨に、さていくらの値がつくか。
2013年4月24日
リョコウバトは、とても美しく、しかもなかなか美味な鳥らしい。しかし、もう見ることも味わうこともできない。今から九十九年前に、最後の一羽がこの世を去ったのだ
▼『絶滅野生動物の事典』(今泉忠明著、東京堂出版)によれば、北米大陸にすむリョコウバトは、鳥の歴史が始まって以来、最も数多くいたといわれる。一説に、五十億羽。渡りの季節となれば、空が真っ黒になるほどだった
▼だが、十九世紀以降、味がよく羽毛も良質なリョコウバトは、年に数十万羽が殺されていった。十九世紀後半になると、保護する動きも出始めたが、機を逸し、わずか百年で世界から消えた。いや正確には、抹殺されたのだ
▼インド洋のマスカリン諸島にすむ飛べない鳥ドードーは、もっとあっけなく絶滅した。島に上陸した西欧の船乗りたちは、肉を食料にしただけでなく、人を恐れないこの鳥を娯楽として殴り殺したという
▼人類が登場する前には、五十年から三百年に一種の鳥が絶滅したとされる。それが今や、絶滅の速度は二年半に一種にまで速まっているらしい
▼英語でドードー鳥という言葉には、「時勢に疎い人」「まぬけ」といった意味がある。そんな不名誉な比喩として名を残すドードーの骨がきょう、ロンドンで競売に掛けられる。人間の傲慢(ごうまん)と愚行を象徴するようなその骨に、さていくらの値がつくか。