中日春秋
2013年4月18日
今から二十五年前の春、英国の美しい大学街オックスフォードで学究生活を送っていた夫婦は、静かな夜を電話のベルで破られた。夫のマイケルさんは嫌な予感に襲われたという。「わたしたちの生活が永久に変わってしまうのではないか」
▼予感は当たった。病に倒れた母のため、妻アウン・サン・スー・チーさんは祖国ミャンマーに向かった。そこで軍事独裁政権との闘いに身を投じることを決意する
▼家族を引き裂くことになる妻の決心に、マイケルさんは反対しなかった。結婚前、こんな手紙を受け取っていたのだ
▼<ひとつだけお願いがあります。もし国民がわたしを必要としたときには、わたしが彼らのために本分を尽くすのを手助けしてほしいのです>
▼二十五歳前後だったスー・チーさんは<ときどき、何らかの事情や国の問題によって、わたしたちの間が引き裂かれてしまうのではないかと恐ろしくなることがあります>と不安を吐露しながらも、こう記したという。<二人ができる限り愛し合い、励ましあっていれば、最後にはきっと、愛と思いやりが大きな勝利を収めると思います…>(『自由・自ら綴(つづ)った祖国愛の記録』)
▼マイケルさんは愛妻が民主化を勝ち取るのを見ぬまま、一九九九年に逝った。毅然(きぜん)と静かな口調で自由の尊さを語るスー・チーさんの背後に、優しく支え続けた夫の姿を想(おも)う。
2013年4月18日
今から二十五年前の春、英国の美しい大学街オックスフォードで学究生活を送っていた夫婦は、静かな夜を電話のベルで破られた。夫のマイケルさんは嫌な予感に襲われたという。「わたしたちの生活が永久に変わってしまうのではないか」
▼予感は当たった。病に倒れた母のため、妻アウン・サン・スー・チーさんは祖国ミャンマーに向かった。そこで軍事独裁政権との闘いに身を投じることを決意する
▼家族を引き裂くことになる妻の決心に、マイケルさんは反対しなかった。結婚前、こんな手紙を受け取っていたのだ
▼<ひとつだけお願いがあります。もし国民がわたしを必要としたときには、わたしが彼らのために本分を尽くすのを手助けしてほしいのです>
▼二十五歳前後だったスー・チーさんは<ときどき、何らかの事情や国の問題によって、わたしたちの間が引き裂かれてしまうのではないかと恐ろしくなることがあります>と不安を吐露しながらも、こう記したという。<二人ができる限り愛し合い、励ましあっていれば、最後にはきっと、愛と思いやりが大きな勝利を収めると思います…>(『自由・自ら綴(つづ)った祖国愛の記録』)
▼マイケルさんは愛妻が民主化を勝ち取るのを見ぬまま、一九九九年に逝った。毅然(きぜん)と静かな口調で自由の尊さを語るスー・チーさんの背後に、優しく支え続けた夫の姿を想(おも)う。