中日春秋
2013年3月28日
 世界屈指の投資家として巨万の富を築いたゴールドスミス氏は七歳の時、兄にその読書嫌いをたしなめられて、こう言い放ったという。「大きくなったら富豪になって、僕のために本を読んでくれる人を雇うから、いい」
▼是非はともかく、幼くして大した肝の据わり方だが、この少年の落ち着きぶりにも、舌を巻いた。十七歳で富豪の仲間入りする英国のニック・ダロイシオさんだ
▼自ら起こしたスマートフォン向けのソフト開発会社が、二十八億円で米企業に買収されることになった。そこで一言。「別にお金のためにやってきたのではない。お金が入っても何も変わらない」
▼彼が画期的なソフトを作ったのは、試験勉強のせいだ。歴史を学ぶためにネットで調べていたが、まどろっこしい記述ばかり。このイライラを解消するには…検索結果やウェブページの内容をさっと要約するソフトを作ってしまえ、と勉強部屋で取り掛かったという
▼「僕は忍耐強くなくてね。同世代の子たちと一緒で、おもしろくないと思ったら、もう読み続けられない。とにかく素早く知りたいんだ」と英紙に語っている。少年らしい性急さが、発明の母となった
▼願わくは、これからの人生が自慢のソフトでは要約不可能な、行間に深みを湛(たた)えたものになりますように。…というこのコラムを彼のソフトで要約したら、どうなるのだろう。