中日春秋
2013年2月27日
 <丸投げはどんな技かと子に聞かれ>とは、サラリーマン川柳の句。<相撲にもこの技無いよね丸投げは>というのもあれば、<管理職必殺技は丸投げだ>というのもあった
▼東日本大震災の復興の現場でも、この必殺技が横行しているという。震災で全半壊した住宅などの解体工事の費用は、国が全額負担する。仙台市だけで一万一千件、総額二百数十億円にもなるが、その現場で多重下請けが横行しているというのだ
▼被災地の地元紙・河北新報の報道によれば、ひどいケースだと七次や八次の下請けまである。各社が工事費の5~10%を抜いていくので、元請けや上位の下請けはぬれ手で粟(あわ)。だが、現場で汗を流す末端の業者は赤字になることもある
▼福島第一原発の収束作業でも、除染の現場でも多重下請けの複雑な雇用形態の中で、丸投げとピンハネが横行し、「人として扱われていない」と憤る声も聞こえる
▼十三兆円を超える補正予算がきのう、成立した。過去二番目という巨額の予算は、復興を加速させて、災害に強い国をつくるためにと、公共事業に大盤振る舞いする内容だ
▼「解体は復興の第一歩。赤字になると分かっていても我慢した」と泣く下請け業者がいる。給料が減っても「福島第一の作業は誰かがやらなきゃならない」と働き続ける作業員もいる。そういう人たちを潤してこその、復興予算だ。