中日春秋
2013年2月26日
いい絵本は、大人が読んでもわくわくする。子どもに読み聞かせていると、言葉のリズムで唇や舌が喜び出し、何度も読みたくなる
▼昨年春に八十三歳で逝った米国の作家モーリス・センダックの『まよなかのだいどころ』(神宮輝夫訳)は音読してこそ魅力が分かる、そんな本だ
▼みんな寝静まった夜、主人公のミッキー君が、家の中のただならぬ物音に気づく。「うるさいぞ!」と叫ぶと…くらやみにおっこちて、はだかになっちゃって…おりたところは あかるいまよなかのだいどころ…。裸ん坊のミッキーが真夜中の台所で陽気なパン屋さんと繰り広げる素敵(すてき)な冒険物語だ
▼世界的ベストセラーになったこの傑作が、米国では論争の的になっているという。一糸まとわぬミッキーの姿が不道徳ではないかというのだ。見せたくないところは隠せばいい、とミッキーにおむつを描き加えた図書館員もいるらしい(マルコヴィッツ著『「かいじゅうたち」の世界へ』)
▼少年の無邪気さを象徴する「裸」に、不道徳を見て取る狭量さにはあきれるが、こちらもなかなかだ。島根県奥出雲町では、公園に置かれたミケランジェロ作「ダビデ像」の複製に一部の住民から「裸は気持ち悪い」「下着をはかせたら」との苦情が出ているという
▼ミッキーにおむつ、ダビデにパンツ。隠せばいいと思う心の方が、ずっと恥ずかしい。
2013年2月26日
いい絵本は、大人が読んでもわくわくする。子どもに読み聞かせていると、言葉のリズムで唇や舌が喜び出し、何度も読みたくなる
▼昨年春に八十三歳で逝った米国の作家モーリス・センダックの『まよなかのだいどころ』(神宮輝夫訳)は音読してこそ魅力が分かる、そんな本だ
▼みんな寝静まった夜、主人公のミッキー君が、家の中のただならぬ物音に気づく。「うるさいぞ!」と叫ぶと…くらやみにおっこちて、はだかになっちゃって…おりたところは あかるいまよなかのだいどころ…。裸ん坊のミッキーが真夜中の台所で陽気なパン屋さんと繰り広げる素敵(すてき)な冒険物語だ
▼世界的ベストセラーになったこの傑作が、米国では論争の的になっているという。一糸まとわぬミッキーの姿が不道徳ではないかというのだ。見せたくないところは隠せばいい、とミッキーにおむつを描き加えた図書館員もいるらしい(マルコヴィッツ著『「かいじゅうたち」の世界へ』)
▼少年の無邪気さを象徴する「裸」に、不道徳を見て取る狭量さにはあきれるが、こちらもなかなかだ。島根県奥出雲町では、公園に置かれたミケランジェロ作「ダビデ像」の複製に一部の住民から「裸は気持ち悪い」「下着をはかせたら」との苦情が出ているという
▼ミッキーにおむつ、ダビデにパンツ。隠せばいいと思う心の方が、ずっと恥ずかしい。