中日春秋
2013年1月30日
 『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』は、童謡「ぞうさん」や「一ねんせいになったら」で知られる詩人まど・みちおさんが二年前、百一歳の時に出した本だ
▼まどさんは、引っ込み思案な子どもだったという。<アリや花のおしべなどの小さいものを じっとみつめることが好きでした。小さいと、ひと目で全体が見えるから、そこに宇宙を感じていたのです>
▼まどさんも、虫と宇宙をつなぐ驚きの観察に膝を打つことだろう。フンコロガシがふんを真っすぐ転がし続けるのに、太陽や月を目印にするのは知られていた。では、月がない夜は、どうするか。北欧などの研究チームが、天の川を目印にしていると突き止めた
▼日本では、球押金亀子(タマオシコガネ)とも呼ばれるフンコロガシは、古代エジプトで神聖視された。ふんの球を運ぶ姿が、太陽を東から西に運ぶ神に重ねられてのことだ
▼実際、天空を見つつ球を運んでいるのだから、スケールが大きい。どんな小さなものでもみつめていると、宇宙につながっている-とは、まさしく至言だ
▼<かすかなスケールで生きている蚊と、どうしようもないほどのスケールで生きている人間が、隣り合って生きている不思議。蚊がどんな思いでいるのかが見えたら、おそらく人間はその前でひれ伏すのではないでしょうか>。これも百三歳の詩人の言葉だ。