中日春秋
2012年12月17日
 二人の「声」に心を揺さぶられた。一人は福島のお母さん。もう一人は震災で父を失った岩手県の少女だ
▼遺児を支援する「あしなが育英会」が母子家庭を対象に行ったアンケートに、五十歳の母親が記している。<原発事故の中、子どもたちを買い物・水をもらいにかりだしてしまった。当然放射能を浴びている。五人のうち一人は甲状腺にしこりがある検査結果が出ています>
▼<大丈夫だと福島医大では言っているが、これから先何年後にもそういいきれるのか疑問…。長女は特に、福島県外の人とは結婚できないよね、とつぶやきました>
▼岩手の高校三年生は、大学の看護学部への進学を目指す。被災生徒を支援するNPO法人「若草リボン基金」への申請書に、書いた。<父を亡くした精神的ダメージは大きく、誰かが亡くなったという話を聞いてもショックをうけなくなった。実際、震災後に祖母が亡くなった時も平然としていた。私は死を軽く感じるようになったのかと怖くもなった>
▼<しかし、誰しも死をむかえるということを私が実感したのだと気付いた。死が万人に訪れるとしても、その死を少しでも安らかなものにしたい>。だから、患者と家族に寄り添う看護師になりたいのだ、と
▼こういう声に、どう応えていくのか。本当に見たいのは当選者の笑顔ではなく、お母さんや子どもたちの笑顔だ。