中日春秋
2012年10月9日
ジャマナカ。それが、山中伸弥さんのあだ名だった。大阪の病院の研修医だった山中さんに、指導医は言った。「お前はほんまに邪魔や。ジャマナカや」
▼上手な医者なら二十分で済ます手術に、二時間もかけた。看護師にもあきれられた。だれより患者があきれていた。局所麻酔だったので一部始終を見ていたのだ。幸いトラブルにはならなかったのは、患者が山中さんの親友だったからだ(近著『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』講談社)
▼山中さんが基礎研究に転じたのは、いくら名医でも治せない病気があることを病院で目の当たりにしたためだ。その道に進んでからも、自分の研究が本当に人の役に立つのか、意味を見失った時もあった
▼実験用マウスの世話ばかりに追われ、周囲から評価されず、うつになった時もあった。それでも折れずに医学に新たな道を開いて、ノーベル賞に値する名医になった
▼iPS細胞はまだ、現実に患者を救う段階には達していない。臨床医としては救えなかった患者さん。息子が医者になったことを喜びつつ、死んでいった父。目指すゴールは、先にある
▼近著は、こんな言葉で締めくくられている。<医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです>
2012年10月9日
ジャマナカ。それが、山中伸弥さんのあだ名だった。大阪の病院の研修医だった山中さんに、指導医は言った。「お前はほんまに邪魔や。ジャマナカや」
▼上手な医者なら二十分で済ます手術に、二時間もかけた。看護師にもあきれられた。だれより患者があきれていた。局所麻酔だったので一部始終を見ていたのだ。幸いトラブルにはならなかったのは、患者が山中さんの親友だったからだ(近著『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』講談社)
▼山中さんが基礎研究に転じたのは、いくら名医でも治せない病気があることを病院で目の当たりにしたためだ。その道に進んでからも、自分の研究が本当に人の役に立つのか、意味を見失った時もあった
▼実験用マウスの世話ばかりに追われ、周囲から評価されず、うつになった時もあった。それでも折れずに医学に新たな道を開いて、ノーベル賞に値する名医になった
▼iPS細胞はまだ、現実に患者を救う段階には達していない。臨床医としては救えなかった患者さん。息子が医者になったことを喜びつつ、死んでいった父。目指すゴールは、先にある
▼近著は、こんな言葉で締めくくられている。<医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです>