中日春秋
2012年9月25日
 孔子は「四十にして惑わず」と言い、孟子も「四十にして心を動かさず」と言った。だが人生八十年時代の、聖賢ならぬ身には、四十歳はまさに分岐点。曲がり角に立つ不安の方が、大きいのではないか
▼国交正常化四十年を迎えた日中関係は、急カーブで脱線気味だ。巨額の政府開発援助、技術支援、そして地道な民間交流。積み重ねてきたものがもろくも崩れていくようだ
▼いや、本当に心配なのは、日中関係より中国そのものだ。改革・開放路線を進み始めて三十四年。年率10%近い高成長を続け、国内総生産(GDP)は世界二位になった
▼中国共産党は、可能な者から先に豊かになり、貧しい者を助けるという「先富論」で資本主義化を正当化してきた。しかし、党幹部の腐敗が蔓延(まんえん)し、1%の富裕層が国富の40%を独占。貧富の差が極端で、暴動を含めた抗議行動は年に十八万件になるという
▼今の中国は、一九九〇年代にヒットした米映画『スピード』を思わせる。時速八十キロを切ると安全装置が解除される、厄介な爆弾が路線バスに仕掛けられる。速度を落とさずに走りつつ、乗客をどう救うか
▼中国も、経済の急成長を維持できれば、まだ不満を吸収しうるだろうが、失速すれば暴発が起きかねない。映画ならスリルを楽しめるけれど、悪いことに、バス「中国号」は「日本号」のすぐ横を並走している。