中日春秋
2012年9月15日
 製造国の刻印に誇りを持てる国は、幸せだ。「メード・イン・ジャパン」とは、勤勉勤労の国・日本の自尊心を刻んだ印だ
▼製品に製造国名を入れることを義務付けたのは、百二十五年前に英議会が制定した商品商標法だ。ドイツから輸入される安価な刃物から自国の産地を守るのが目的だった
▼だが、ことは英政財界の思惑通りに運ばなかった。ドイツ製品の高品質さを消費者が知る契機となり、「メード・イン・ジャーマニー」は、敬遠されるどころか評価を高めていった-と、ドイツのテレビ局が先日、誇らしげに紹介していた
▼<痛切の念とともに認めなければならないが、これは『日本製』の災害である>。福島原発事故の国会事故調査委員会の報告書は英語版序文でこう書いた。この国の事なかれ主義的な、なれ合いの文化が事故の背景にあるとの趣旨だ
▼当たっている面もあろう。だが、問題はもっと根源的だ。問われるべきは、いったん暴走すれば止めようもない核の力、半減期が十万年もある物質を、寿命が百年ほどしかない人間が制御しきれるのか、ということだろう
▼政府が、二〇三〇年代に原発ゼロを目指す戦略を決めた。そこには<我が国がこの目標を達成することは、世界の多くの国に先例を示すこと>とある。『日本製』を自虐の刻印にせず、誇りある印とするための新たな挑戦にできるか。