中日春秋
2012年9月12日
きのう国有化された尖閣諸島の魚釣島は、ヤギの島だ。三十年以上前に持ち込まれた二頭を先祖に増えに増え、一時は千頭に達したともいわれる
▼増えすぎたヤギが草地を食べまくったせいで、岩盤が露出し、激しい崖崩れが起きている。領土保全の先兵として持ち込まれたヤギが、領土を食いちぎる勢いというのは、現代の寓話(ぐうわ)だ
▼イソップ寓話に、こんな話がある。ライオンに追われた牛が洞穴に逃げ込むと、そこに野生のヤギがいる。ヤギに小突かれた牛が言う。「おまえの行いを我慢しているのは、おまえを恐れているからではない。入り口にいるやつが怖いからだ」
▼尖閣諸島をめぐり中国が最も恐れているのは、米国の関与だろう。日本政府も心得ていて、米国から「尖閣諸島は安保条約の適用対象」との言は引き出した
▼ただ、ライオンがくせ者だ。孫崎享(うける)・元外務省国際情報局長が近著『戦後史の正体』で書いている。<ロシアとは北方領土、韓国とは竹島、中国とは尖閣諸島と、みごとなくらいどの国とも解決困難な問題がのこされていますが、これは偶然ではないのです>
▼米国の戦略の枠を外れ、日本が勝手に隣国と仲良くしてもらっては困る。日本が抱える領土問題には、米国が歴史的に仕組んだ面がある、と孫崎さんは指摘する。なるほどライオンの狙いも読まねば、ヤギの島の難題は解けまい。
2012年9月12日
きのう国有化された尖閣諸島の魚釣島は、ヤギの島だ。三十年以上前に持ち込まれた二頭を先祖に増えに増え、一時は千頭に達したともいわれる
▼増えすぎたヤギが草地を食べまくったせいで、岩盤が露出し、激しい崖崩れが起きている。領土保全の先兵として持ち込まれたヤギが、領土を食いちぎる勢いというのは、現代の寓話(ぐうわ)だ
▼イソップ寓話に、こんな話がある。ライオンに追われた牛が洞穴に逃げ込むと、そこに野生のヤギがいる。ヤギに小突かれた牛が言う。「おまえの行いを我慢しているのは、おまえを恐れているからではない。入り口にいるやつが怖いからだ」
▼尖閣諸島をめぐり中国が最も恐れているのは、米国の関与だろう。日本政府も心得ていて、米国から「尖閣諸島は安保条約の適用対象」との言は引き出した
▼ただ、ライオンがくせ者だ。孫崎享(うける)・元外務省国際情報局長が近著『戦後史の正体』で書いている。<ロシアとは北方領土、韓国とは竹島、中国とは尖閣諸島と、みごとなくらいどの国とも解決困難な問題がのこされていますが、これは偶然ではないのです>
▼米国の戦略の枠を外れ、日本が勝手に隣国と仲良くしてもらっては困る。日本が抱える領土問題には、米国が歴史的に仕組んだ面がある、と孫崎さんは指摘する。なるほどライオンの狙いも読まねば、ヤギの島の難題は解けまい。