中日春秋
2012年8月21日
筒井康隆さんの『現代語裏辞典』は、夏バテで鬱陶(うっとう)しい気分の時に、ぴったりの激辛本だ。辞典という言葉を引けば<唾棄すべき常識の巣窟。本辞典のみはさにあらず>とある。ちなみに良識は<この辞典にないもの>
▼以下、筒井流の定義によると、友好条約は<世界中にパンダがいる理由>。領海は<中国は船を並べて線を引く>。その中国は<広い領土を持ちながら何故に欲しがる尖閣諸島>。領土問題は<「次世代の叡知(えいち)が解決する」 次世代もそう言う>
▼それにしても、台風も来ていないのに、日本列島周辺で荒波が立っている。ロシアの首相が北方領土に足を運んだかと思えば、韓国の大統領が竹島を訪問。尖閣諸島に香港の活動家が上陸したら、今度は日本の地方政治家が泳いで渡った
▼日本の領土が侵害されるのは、実に腹立たしい。ただ、内政問題なら国民の怒りが解決に直結することもあるが、領土問題はそうもいかぬ
▼どの国の為政者も、国民に「強い政治家」と見せたいのは一緒だ。強硬策を互いが重ねていけば、<次世代の叡知が解決する>という余地すらなくなる
▼尖閣諸島は悲劇の島だ。大戦末期に近辺で疎開船が米軍に攻撃され、多くの死者が出た。『裏辞典』は尖閣諸島を<出かけて行きさえすればいつでも戦争ができる島>と書く。そうしてしまっては、犠牲者に合わせる顔がない。
2012年8月21日
筒井康隆さんの『現代語裏辞典』は、夏バテで鬱陶(うっとう)しい気分の時に、ぴったりの激辛本だ。辞典という言葉を引けば<唾棄すべき常識の巣窟。本辞典のみはさにあらず>とある。ちなみに良識は<この辞典にないもの>
▼以下、筒井流の定義によると、友好条約は<世界中にパンダがいる理由>。領海は<中国は船を並べて線を引く>。その中国は<広い領土を持ちながら何故に欲しがる尖閣諸島>。領土問題は<「次世代の叡知(えいち)が解決する」 次世代もそう言う>
▼それにしても、台風も来ていないのに、日本列島周辺で荒波が立っている。ロシアの首相が北方領土に足を運んだかと思えば、韓国の大統領が竹島を訪問。尖閣諸島に香港の活動家が上陸したら、今度は日本の地方政治家が泳いで渡った
▼日本の領土が侵害されるのは、実に腹立たしい。ただ、内政問題なら国民の怒りが解決に直結することもあるが、領土問題はそうもいかぬ
▼どの国の為政者も、国民に「強い政治家」と見せたいのは一緒だ。強硬策を互いが重ねていけば、<次世代の叡知が解決する>という余地すらなくなる
▼尖閣諸島は悲劇の島だ。大戦末期に近辺で疎開船が米軍に攻撃され、多くの死者が出た。『裏辞典』は尖閣諸島を<出かけて行きさえすればいつでも戦争ができる島>と書く。そうしてしまっては、犠牲者に合わせる顔がない。