中日春秋
2012年6月19日
 市場が企業や国家の財政当局に求めるのは、何より「決断のスピード」らしい。でも、どんな選択にも得失があり、迷うのが人情。時間がかかることだってある
▼昨日、世界中が気をもんでいたギリシャ議会の再選挙の結果が出た。とりあえず旧与党の政党が第一党になり、他党と合わせ緊縮財政派が過半数の議席を確保したようだ
▼もし緊縮拒否派の党が勝利していれば、欧州連合からの支援停止やギリシャのユーロ圏離脱がいよいよ現実味を帯びたところ。そうなれば危機は一層深刻化しようから、ほとんど世界中がこの結果に安堵(あんど)したのも当然だ
▼一度目の議会選挙では、ユーロ圏残留を望む人が大半なのに、国民に痛みを強いる緊縮策に反発、連立与党を崩壊させたギリシャ国民だ。結局、組閣ができず、再選挙となって、今度は「緊縮拒否」と「ユーロ圏残留」の両立は難しそうだと思い直した形である
▼一度目の選挙の後、ユーロは売られ、例えば円高となった結果、日本も株安に見舞われた。迷惑を被った向きにしたら「最初からそう判断してくれていたら…」と文句の一つも言いたいに違いない
▼確かに、独裁者なら、迷って思い直し、決断するまで一時間で済んだかも。同じ結論に二度の選挙という手間暇かけたギリシャの迷いは、「決断のスピード」を強いる市場への民主主義からの“反論”かもしれぬ。