中日春秋
2012年4月10日
私事だが、筆者の初任地は長野県の飯田支局だった。今でも年に一度、黄金週間のころ、当時からの恩人や、お世話になった方々が集まる会があり、呼んでいただいている
▼南信州の山村で一泊するのだが、その中心人物の一人であるHさんという男性には常々、瞠目(どうもく)させられる。ともに春の山野を散策していると、花であれ木であれ山菜であれ、目に入るものを、「ああ、それは○○」と悉(ことごと)く見分けてしまうのだ
▼国語学者の故大野晋さんはこう書いている。<日本語ではワカル(理解する、判断が持てる)ということを、「分ける」こと…だと把握したのではあるまいか>。他言語の「理解する」にも同様に考えられる例があるそうだ
▼北海道函館市の父子が、トリカブト中毒とみられる症状で亡くなるという痛ましいニュースがあった。山菜のニリンソウと思い込み、山で採ったものをおひたしにして食べたのが原因とみられている
▼厚労省のホームページには、間違えやすい例として両者の画像が載っているが、確かにそっくり。これを見分けるのは至難の業だろう。季節もよくなり、これから山菜採りに行く人は増えるはずだが、くれぐれも注意してほしい
▼「分かる」ために「分ける」を過たぬようにしたいのは政治も同じだ。混迷の時代なればこそ、「見かけ」と「正体」を見分ける力が私たちには必要である。
2012年4月10日
私事だが、筆者の初任地は長野県の飯田支局だった。今でも年に一度、黄金週間のころ、当時からの恩人や、お世話になった方々が集まる会があり、呼んでいただいている
▼南信州の山村で一泊するのだが、その中心人物の一人であるHさんという男性には常々、瞠目(どうもく)させられる。ともに春の山野を散策していると、花であれ木であれ山菜であれ、目に入るものを、「ああ、それは○○」と悉(ことごと)く見分けてしまうのだ
▼国語学者の故大野晋さんはこう書いている。<日本語ではワカル(理解する、判断が持てる)ということを、「分ける」こと…だと把握したのではあるまいか>。他言語の「理解する」にも同様に考えられる例があるそうだ
▼北海道函館市の父子が、トリカブト中毒とみられる症状で亡くなるという痛ましいニュースがあった。山菜のニリンソウと思い込み、山で採ったものをおひたしにして食べたのが原因とみられている
▼厚労省のホームページには、間違えやすい例として両者の画像が載っているが、確かにそっくり。これを見分けるのは至難の業だろう。季節もよくなり、これから山菜採りに行く人は増えるはずだが、くれぐれも注意してほしい
▼「分かる」ために「分ける」を過たぬようにしたいのは政治も同じだ。混迷の時代なればこそ、「見かけ」と「正体」を見分ける力が私たちには必要である。