中日春秋
2012年3月1日
 ロッシーニと東京スカイツリー。一見、無縁のように思えるが、実は共通点が一つある
▼片や、オペラ『セビリアの理髪師』などで知られる大作曲家、片や、六三四メートルと世界一の高さを誇るタワー。人間と塔。イタリア製と日本製。確かに関係はないが、「誕生日」が同じなのである
▼大震災の影響で二カ月遅れとなったが、東京スカイツリーが昨日、ついに完成した。そしてロッシーニも一七九二年の昨日、生を受けている。どちらも二月二十九日、即(すなわ)ち、閏日(うるうび)に呱呱(ここ)の声を上げたわけだ
▼閏日生まれの人の誕生日は、四年に一度しか来ないが、年齢は生まれた日の前日満了をもって加算される定めゆえ、当然、「四年に一歳しか年をとらない」ということはない。それに、天が世に送り出すに、季節と暦を合わせるための特別な一日を選んでくれたとも考えられる
▼ただ、誕生日のお祝いは、四年に三回、前後の日にでもずらすよりない。スカイツリーの場合は、「完成○周年」の記念日をどうするのだろう。事業会社は「まだ考えていない」というが、例えば竣工(しゅんこう)式の明日を“誕生日”として毎年祝うより、四年に一回だけ、閏日に祝う方が粋な気もする
▼「閏」を「うるう」と読むのは、誰かが「潤」と書き誤ったのが始まりとか。この塔も、ロッシーニの曲同様、人々の心に潤いを与える存在になってほしいものだ。