中日春秋
2012年2月16日
 街で、今の景気をどう思うかと聞いたら、大方の人が、「悪い」と答えるだろう。極端な言い方が嫌いな人は、「良くない」と言うかもしれない
▼一般市民が景気を語る言葉としては、ほかに「まあまあ」や、もう相当ごぶさたな感じの「良い」があるぐらいで、ごく簡潔なものだ。そこへいくと、専門家の言葉遣いというのは、なかなか玄妙である
▼例えば日銀の景気判断。震災以後の表現をみてみると「下押し圧力が強い状態」から「持ち直しの動きもみられる」「持ち直している」「着実に持ち直してきている」と微妙に前向きに変化。だが、その後は「持ち直しのペースは緩やかに」「持ち直しの動きが一服」ときて、この一、二月の「横ばい圏内にある」に至る
▼この手の修辞は、いささかの皮肉を込め「景気文学」と呼ばれるが、これも相当風変わりな日本語だ。日銀が、目指す物価上昇率の目安としてきた「2%以下のプラスで中心は1%程度」という表現
▼今回、これをインフレ目標「1%」とあらためた。そこまでは金融緩和を続けるとの意志を明確にしてデフレ脱却を狙う。難しいことは分からぬが、何かを目指すなら、曖昧な目安より明確な目標の方が効果的なのは確かだろう
▼それにしても面白い言い方だ。今度、ご飯のおかわりをする時にでも使ってみるか。「二杯以内のプラスで中心は一杯程度」