中日春秋
2012年1月1日
二〇一二年が明けました。今年も、小欄とのおつきあいのほど、よろしくお願いします
▼さて、正月というと、よく持ち出される名句に、虚子の<去年(こぞ)今年貫く棒の如(ごと)きもの>があるが、これほどそれを実感する年初もない。大震災から十カ月近くになるが、被災地の復興、未(いま)だし。年があらたまったといっても、その影響が去年から今年を棒の如く貫いている
▼かてて加えて、歴史的円高やユーロ危機の側杖(そばづえ)など、日本経済にブレーキをかける<棒>にも貫かれた去年今年である。今年の干支(えと)は辰(たつ)で、動物でいえば竜。もとより架空の動物だが、どうかこの国の運気も雲を得て天に昇る竜にあやかりたいものだ
▼竜といえば、南方熊楠『十二支考』で、「思抱」なる言葉に出合った。喉(のど)の下に<逆鱗(げきりん)>があるなど、竜の特徴を述べた古い書物に<竜は卵生にして思抱す>とあるそうだ。それは<親が、卵ばかりを思い詰める力で、卵が隔たった所にありながら孵(かえ)り育つ事>という
▼「3・11」の災禍は、原発事故などで日本の「弱さ」をあぶりだしたが、同時に、「強さ」も思い出させてくれた気がする。人が、モノやカネではなく、人を思うことで生じる力、とでもいえばいいか
▼日本再生は今年こそが正念場。窮地の中にも既に復活の種は胚胎している。人々がそれを思い詰める力で「希望」という卵を孵す年にしたい。
2012年1月1日
二〇一二年が明けました。今年も、小欄とのおつきあいのほど、よろしくお願いします
▼さて、正月というと、よく持ち出される名句に、虚子の<去年(こぞ)今年貫く棒の如(ごと)きもの>があるが、これほどそれを実感する年初もない。大震災から十カ月近くになるが、被災地の復興、未(いま)だし。年があらたまったといっても、その影響が去年から今年を棒の如く貫いている
▼かてて加えて、歴史的円高やユーロ危機の側杖(そばづえ)など、日本経済にブレーキをかける<棒>にも貫かれた去年今年である。今年の干支(えと)は辰(たつ)で、動物でいえば竜。もとより架空の動物だが、どうかこの国の運気も雲を得て天に昇る竜にあやかりたいものだ
▼竜といえば、南方熊楠『十二支考』で、「思抱」なる言葉に出合った。喉(のど)の下に<逆鱗(げきりん)>があるなど、竜の特徴を述べた古い書物に<竜は卵生にして思抱す>とあるそうだ。それは<親が、卵ばかりを思い詰める力で、卵が隔たった所にありながら孵(かえ)り育つ事>という
▼「3・11」の災禍は、原発事故などで日本の「弱さ」をあぶりだしたが、同時に、「強さ」も思い出させてくれた気がする。人が、モノやカネではなく、人を思うことで生じる力、とでもいえばいいか
▼日本再生は今年こそが正念場。窮地の中にも既に復活の種は胚胎している。人々がそれを思い詰める力で「希望」という卵を孵す年にしたい。