中日春秋
2011年12月31日
昨日は帰省ラッシュのピークだったようだ。もとより、懐かしい故郷で年越ししようという人々の大移動である
▼今ごろは、どれほどの家々でどれほどの父や母、祖父や祖母が、久しぶりに見る子や孫の顔に破顔していようか。寒い時期だが、ふだんより集まる顔の数が多い団欒(だんらん)は、どんな暖房器具より、家内を暖めているだろう
▼けれど、今年は、昨年の大(おお)晦日(みそか)より集まる顔の少なくなった団欒が多くあることを忘れるわけにはいかない。そして、故郷で、わが家で、年を越すことのできないたくさんの日本人がいることも。最近の政府発表でも、大震災による避難者は、なお三十万人を超えている
▼大津波で自宅や実家を失った人、原発事故で故郷に戻れなくなった人…。<ノキバノ月ヲミルニツケ/ザイシヨノコトガ気ニカカル>(李白『静夜思』)。原詩の「故郷」を、「ザイシヨ」とした井伏鱒二の名高い漢詩訳の一節が胸に迫る。募る帰心いかばかりだろう。<ワシガ故郷ハハルカニ遠イ/帰リタイノハカギリモナイゾ>(韋応物『聞雁』)
▼帰る家があり、家族がいる。食べ物は安全で電気はいくらでもある。様々な「当たり前のこと」が実は当たり前ではなかったのだと思い知らされた一年だった。それも今日で暮れきる
▼どうか、来年がよい年になりますように…。これほど切に、そう祈る年越しはない。
2011年12月31日
昨日は帰省ラッシュのピークだったようだ。もとより、懐かしい故郷で年越ししようという人々の大移動である
▼今ごろは、どれほどの家々でどれほどの父や母、祖父や祖母が、久しぶりに見る子や孫の顔に破顔していようか。寒い時期だが、ふだんより集まる顔の数が多い団欒(だんらん)は、どんな暖房器具より、家内を暖めているだろう
▼けれど、今年は、昨年の大(おお)晦日(みそか)より集まる顔の少なくなった団欒が多くあることを忘れるわけにはいかない。そして、故郷で、わが家で、年を越すことのできないたくさんの日本人がいることも。最近の政府発表でも、大震災による避難者は、なお三十万人を超えている
▼大津波で自宅や実家を失った人、原発事故で故郷に戻れなくなった人…。<ノキバノ月ヲミルニツケ/ザイシヨノコトガ気ニカカル>(李白『静夜思』)。原詩の「故郷」を、「ザイシヨ」とした井伏鱒二の名高い漢詩訳の一節が胸に迫る。募る帰心いかばかりだろう。<ワシガ故郷ハハルカニ遠イ/帰リタイノハカギリモナイゾ>(韋応物『聞雁』)
▼帰る家があり、家族がいる。食べ物は安全で電気はいくらでもある。様々な「当たり前のこと」が実は当たり前ではなかったのだと思い知らされた一年だった。それも今日で暮れきる
▼どうか、来年がよい年になりますように…。これほど切に、そう祈る年越しはない。