中日春秋
2011年12月1日
 工作機械大手のオークマは元々、うどんをつくる製麺機のメーカーだった。だが、うまく麺を切るのに必要な部品をつくるいい機械が世になかった
▼で、自前でこしらえた。これが、今に続く工作機械事業の始まりとなったのだという。つまり、<ないものは創る>の精神が同社をつくっているのだと、花木義麿社長が本紙に書いている
▼さて昨日、また一つ、重い扉が開いた。二十五年前、福井市の女子中学生が殺害された事件で殺人罪による刑が確定した男性が、服役後、「冤罪(えんざい)だ」と訴えていた再審請求が認められた
▼男性は否認し続けていたが、確定判決となった二審では、関係者複数による供述が根拠となって有罪に。昨日の決定はこれを「信用性に疑問がある」として退けた
▼一番大きかったのは、弁護側の要求、さらには裁判所の勧告を受けて検察側がやっと開示した新証拠。それが、関係者の一人が被告に不利な供述を始めた途端に、ほかの関係者の供述も同様に変遷していった過程をあぶり出した。これが、「捜査機関の誘導があった」とする弁護側主張を裏打ちした形だ
▼どうも過去の冤罪事件と相似る臭い。“筋書き”を描き、それに都合よい供述がなければ誘導する…。あの<ないものは創る>の精神はモノづくりの現場の話だから頼もしい。捜査当局が持つとなると、これほど怖いモットーもない。