中日春秋
2011年11月16日
無知のふりをして、逆に相手の無知を悟らせる-。問答を難題解決の手法に用いたギリシャの哲人の名から、英語では、そういう論法を<ソクラテス的アイロニー>というらしい
▼例の環太平洋連携協定(TPP)をめぐって、その言葉を想起させる出来事があった。発端は、米政府が日米首脳会談で、野田首相が「すべての物品、サービスを自由化交渉のテーブルに乗せる」と発言したと発表したこと
▼日本側は「そんなことは言っていない」と気色ばみ、指摘を受けて米側が訂正した、と説明した。ところが、米政府高官は記者団にしれっと「発表の通り。訂正はしない」。さて、どっちが本当なのか
▼日本政府の方を信じるなら、米国は、ある種の<ソクラテス的アイロニー>を用いたとも考えられる。つまり、首脳の発言内容をまともに理解する能力さえないふりをして、首相に「例外なき」自由化交渉の「例外」を無邪気に信じる甘さを悟らせようとした…
▼逆に、米国の言う方を信じるなら、首相がオバマ大統領に内緒で言ったことを米側があえてばらしたとも考えられる。「本当は既に首相もその気だ」と国民に明かすことで「例外なき」自由化交渉ムードに引き込もうとした…
▼どっちにしろ、わが政府が、発表文一つでやすやすと米国に揺さぶられたのは確か。のっけからこれでは交渉の先が思いやられる。
2011年11月16日
無知のふりをして、逆に相手の無知を悟らせる-。問答を難題解決の手法に用いたギリシャの哲人の名から、英語では、そういう論法を<ソクラテス的アイロニー>というらしい
▼例の環太平洋連携協定(TPP)をめぐって、その言葉を想起させる出来事があった。発端は、米政府が日米首脳会談で、野田首相が「すべての物品、サービスを自由化交渉のテーブルに乗せる」と発言したと発表したこと
▼日本側は「そんなことは言っていない」と気色ばみ、指摘を受けて米側が訂正した、と説明した。ところが、米政府高官は記者団にしれっと「発表の通り。訂正はしない」。さて、どっちが本当なのか
▼日本政府の方を信じるなら、米国は、ある種の<ソクラテス的アイロニー>を用いたとも考えられる。つまり、首脳の発言内容をまともに理解する能力さえないふりをして、首相に「例外なき」自由化交渉の「例外」を無邪気に信じる甘さを悟らせようとした…
▼逆に、米国の言う方を信じるなら、首相がオバマ大統領に内緒で言ったことを米側があえてばらしたとも考えられる。「本当は既に首相もその気だ」と国民に明かすことで「例外なき」自由化交渉ムードに引き込もうとした…
▼どっちにしろ、わが政府が、発表文一つでやすやすと米国に揺さぶられたのは確か。のっけからこれでは交渉の先が思いやられる。