中日春秋
2011年10月26日
落語の『時そば』といえば、十六文のそばの代金を一文ごまかす、あのこずるい払い方が思い浮かぶ
▼一文ずつ「ひぃ、ふぅ、みぃ…なな、やぁ」まで出していき、「今、何時(なんどき)でい?」。屋台のおやじが「九つで」と答えると、続けて「とぉ、十一、十二…十六。ごちそうさまぁ」
▼さて、国の原子力委員会の小委員会が昨日、原発事故で上昇する発電コストは、一キロワット時〇・一~一円にすぎないとする試算をまとめた。事故の損害総額を三兆九千億円と前提して、事故の発生確率をかけてはじきだしたという
▼国際原子力機関の安全目標「十万年に一回以下」の確率と、福島の事故を受けた実績値「五百年に一回」の確率を用いた場合の間をとった額だとか。正直、意外な結果だ。あのレベルの事故を考慮してもそんな程度の上昇とは
▼だが、何か、あのそば屋になったみたいな心持ちがしてならぬ。数字に幻惑され“代金”をごまかされたような…。よく聞けば、やっぱり。そもそも損害の総額を試算の十倍以上、「四十八兆円」とする主張もあれば、あの、よく分からない確率を「架空の計算」と評す専門家もいるのである
▼大体がして、あの事故以来、すべての国民が味わわされている放射能への恐怖や不安といったものは「コスト」に含められてもいない。そんな試算を、原発の今後を決める判断材料にされては困る。
2011年10月26日
落語の『時そば』といえば、十六文のそばの代金を一文ごまかす、あのこずるい払い方が思い浮かぶ
▼一文ずつ「ひぃ、ふぅ、みぃ…なな、やぁ」まで出していき、「今、何時(なんどき)でい?」。屋台のおやじが「九つで」と答えると、続けて「とぉ、十一、十二…十六。ごちそうさまぁ」
▼さて、国の原子力委員会の小委員会が昨日、原発事故で上昇する発電コストは、一キロワット時〇・一~一円にすぎないとする試算をまとめた。事故の損害総額を三兆九千億円と前提して、事故の発生確率をかけてはじきだしたという
▼国際原子力機関の安全目標「十万年に一回以下」の確率と、福島の事故を受けた実績値「五百年に一回」の確率を用いた場合の間をとった額だとか。正直、意外な結果だ。あのレベルの事故を考慮してもそんな程度の上昇とは
▼だが、何か、あのそば屋になったみたいな心持ちがしてならぬ。数字に幻惑され“代金”をごまかされたような…。よく聞けば、やっぱり。そもそも損害の総額を試算の十倍以上、「四十八兆円」とする主張もあれば、あの、よく分からない確率を「架空の計算」と評す専門家もいるのである
▼大体がして、あの事故以来、すべての国民が味わわされている放射能への恐怖や不安といったものは「コスト」に含められてもいない。そんな試算を、原発の今後を決める判断材料にされては困る。