中日春秋
2011年9月27日
 中東の特派員だった二〇〇〇年夏、ペルシャ湾岸の国クウェートで、威勢のいい女性に会った。当時、三十六歳のローラ・ダシティさん
▼女性参政権を求める運動をしていたビジネスウーマン。「次の選挙までには参政権を手に入れる」と鼻息荒く、こう言っていたのを思い出す。「国民議会に女性が登場する。この国の男性には悪夢だわね、ハハハ…」
▼悪夢は大げさにしても、男性優位社会で反発が強かったのは事実。だが、彼女の夢は現実になる。女性参政権が認められたのは、その五年後。さらに四年後の〇九年には、国民議会選挙で初めて女性四人が当選した。ダシティさんは見事、その一人になった
▼〇二年ごろか、その隣国サウジアラビアを取材で訪ねた時にも何人かの働く女性と話す機会があった。彼女らも、参政権など女性の権利は必ず拡大されていく、と熱っぽく語った
▼だが、イスラム圏の中でも一等保守的な国柄。女性には車の運転さえ認められていない。楽観的過ぎないかと言うと、一人はこう答えたものだ。「英国でも、シェークスピアの時代には、女性は舞台に立てなかった。時代は変わるわ」
▼これも、彼女らの言う通りだったのかもしれない。サウジ国王が、地方議会選で女性参政権を認めることを明らかにした。小さな一歩だが、彼女らは破顔していよう。これも“アラブの春”である。