中日春秋
2011年8月29日
 たいていのことは、急いでやると、ろくなことがない。例えば、人生の伴侶選びにしても、西洋には、こんな戒めの言葉がある。<あわてて結婚して、ゆっくり後悔せよ>
▼確かに、スピードが大事なこともあるけれど、速さは、往々にして脆(もろ)さにつながる。木がいい例だ。どんどん太く、大きくなる木よりも、一年に少しずつしか成長せず、年輪が詰まっている木の方が、ずっと堅く、丈夫である
▼ビジネスの世界では、米国流の「判断のスピード」をありがたがる風潮があるが、彼(か)の国の大統領選びは相当ゆっくり。党指名レースへの対応など含めれば実質二年近いのではないか。その長丁場の中で、さまざまな出来事にどう対処するか、候補者は徹底的に国民に見透かされる
▼さて、一昨日、事実上の首相選びとなる民主党代表選が告示された。と思ったら、もう今日、同党国会議員のみの投票で決まってしまう。その間、わずか三日。小さな村の代表を選ぶ村長選でも六日はかけるのに、米大統領とも渡り合う日本のリーダーはたった三日で…
▼震災復興などで政治空白が許されぬ事情はあるが、あまりに脆い短命政権が続くわが国だ。今度こそと思うが、こんな“即席政権”ではやはり、丈夫で長持ちの期待は抱きがたい
▼議員らが<あわてて選んで>、国民が<ゆっくり後悔する>。とにかくそれは願い下げだ。