中日春秋
2011年8月20日
 『にげましょう』。大震災の後、三重県の防災対策室がつくった防災絵本のタイトルだ
▼シンプルな絵で津波、洪水、土砂災害からクマに遭遇した場合まで、さまざまなケースが描かれ、対処メッセージもまたシンプル。例えば津波なら<海辺で1分以上の/長い揺れを感じたら/にげましょう。>のように、ひたすら、<にげましょう>と訴える
▼政府が最近、大震災被災者の面接調査結果を公表した。それによると、地震の揺れが収まった直後に避難していた人は57%止まり。31%は家族を捜したりした後、11%は津波が迫ってから逃げていた
▼津波に巻き込まれた割合は、すぐ逃げた人の5%に対し、ぎりぎりまで避難しなかった人では49%にも。いろいろなことが後ろ髪を引き、身一つで即避難が思うほど容易でないことは分かる
▼だが、あの絵本の「あとがき」が言う通りなのだろう。<家から逃げる場合は早ければ早いほど安全です。でも、私たちはできるだけ家からはなれたくありません。災害はそこをねらってくるのです>。だから、とにかく「にげましょう」
▼考えてみれば、私たちはほぼ同時に、あの「原発災害」も経験している。原発政策の今後を思う時、今度は、「まえがき」の言葉が妙に響いてくる。<災害を避けるため、一番安全な方法は何でしょう。それは早く安全なところへ逃げることです>