中日春秋
2011年7月21日
 <父さんは、あんたに、してほしいことがあるってさ! 母さんも、あんたにいてほしいんだ。いてほしいんだよ。僕には分かる。いてほしいんだよ! 魁皇! 魁皇! カムバック! カムバック!>
▼開拓民を苦しめる悪党どもをやっつけ、去っていく流れ者シェーンに、少年ジョーイが「戻ってきて!」と叫ぶ。あの、あまりにも有名な西部劇『シェーン』のラストの台詞(せりふ)を、勝手に少し変えさせていただいた
▼でも、大関魁皇には、本当にそう叫びたいファンも多いのではないか。この名古屋場所で通算最多勝を達成したが、十日目に敗れた後、引退を決めた。けがにも負けず、粘りに粘った相撲人生には心よりねぎらいの言葉を贈りたい
▼しかし、ジョーイの父ではないが、大関には<してほしいこと>がまだあった。大関以上で唯一の日本人力士。ふがいない日本勢を身をもって鼓舞し続ける役目もそうだ。もっとも、ファンの真情はむしろジョーイの母と同じだったかもしれない。ただ、ずっと土俵に<いてほしい>と…
▼「魁皇としての人生は最高だった」と振り返った大関。今後は部屋付き親方となり「年寄浅香山としての人生」を歩むという。後進を育てて、相撲界の再興にも持ち前の怪力を発揮してほしい
▼この上は、「カムバック!」でなく、こう声を掛けるとしよう。「浅香山! ゴー(行け)!」