中日春秋
2011年4月12日
 ちょうど五十年前の一九六一年、当時、中日の新人投手だった権藤博さんは実に、三十五勝を挙げる
▼そのシーズンの連投に次ぐ連投ぶりを表して、つとに知られる名句が<権藤、権藤、雨、権藤>。さらに、<雨、雨、権藤、雨、権藤>と続くバージョンもあるようだ。何にせよ、雨は試合中止、を意味した時代のことだ
▼ドーム時代となり雨など自然現象で、試合がなくなるということは少なくなった。けれど、大震災に襲われた今季は別だ。セ・パ両リーグとも、当初予定よりほぼ三週間遅れて、今日、開幕を迎える
▼強い余震も、福島原発の危機も続くが、できるところから日常を取り戻していかなければならない。この上は、仙台が本拠の楽天を中心に、被災地のファンを勇気づけるプレーを見せてほしい
▼やはり仙台の大学に在籍するゴルフの松山英樹選手は被災地の苦境を考え、最高峰の大会、マスターズの招待にも出場を迷ったという。だが、応援の声に押されて出場するや見事、日本人初のアマチュア最高位(ローアマ)に輝いた
▼誰もが被災者を直接、救援できるわけではない。でも、スポーツ選手に限らず、みなが各々(おのおの)の“ポジション”ごとに今すべきことをまっとうにやれば、それが、被災地を力づけることにもつながる気がする。<九つの人九つの場を占めてベースボールの始まらんとす>子規。