中日春秋
2011年3月18日
「春になると人はそわそわして、もう誰もじっとしていられない」。そう言って、冬が春をからかう話がイソップ寓話(ぐうわ)にある
▼それに対して、と冬が胸を反り返らせて言うには「私は、有無を言わせぬ王のようだ。恐れ震えさせ、時には終日、家に閉じ込めてやる」。春はこう言い返す。「だからこそ、君が去るとみな喜ぶのだ。私は愛され、戻ってくると人々は歓喜する」
▼もう春の彼岸も近いのに、このところの寒さはまだ冬を思わせる。震災被災地では、昨日も雪が降った。今朝も氷点下五度程度まで下がり、厳しい冷え込みになるところが多そうだ。不明者の捜索や避難所の暮らし、救援活動を苛(さいな)む寒気だ。詮ないが、現地の人々の疲労や不安に追い打ちをかける<有無を言わせぬ王>の横暴を呪いたくなる
▼福島原発の現状は言うに及ばず、株価は下がり急激な円高は進み、日本が今、直面する状況の厳しさをたとえるなら、やはり“冬”と言うよりないだろう。だが<恐れ震え>ているわけにはいかない
▼未曽有の惨事に対する冷静で沈着な日本人の振る舞いを、多くの海外メディアが、驚きと称賛をもって伝えた。例えば、ベトナムの報道は「本当に強い国だけがこうした対応ができる」(共同)と
▼暖を取る時のように、身を寄せ合って一歩ずつ進もう。雨は止(や)み夜は明ける。そして“春”は必ず戻ってくる。
2011年3月18日
「春になると人はそわそわして、もう誰もじっとしていられない」。そう言って、冬が春をからかう話がイソップ寓話(ぐうわ)にある
▼それに対して、と冬が胸を反り返らせて言うには「私は、有無を言わせぬ王のようだ。恐れ震えさせ、時には終日、家に閉じ込めてやる」。春はこう言い返す。「だからこそ、君が去るとみな喜ぶのだ。私は愛され、戻ってくると人々は歓喜する」
▼もう春の彼岸も近いのに、このところの寒さはまだ冬を思わせる。震災被災地では、昨日も雪が降った。今朝も氷点下五度程度まで下がり、厳しい冷え込みになるところが多そうだ。不明者の捜索や避難所の暮らし、救援活動を苛(さいな)む寒気だ。詮ないが、現地の人々の疲労や不安に追い打ちをかける<有無を言わせぬ王>の横暴を呪いたくなる
▼福島原発の現状は言うに及ばず、株価は下がり急激な円高は進み、日本が今、直面する状況の厳しさをたとえるなら、やはり“冬”と言うよりないだろう。だが<恐れ震え>ているわけにはいかない
▼未曽有の惨事に対する冷静で沈着な日本人の振る舞いを、多くの海外メディアが、驚きと称賛をもって伝えた。例えば、ベトナムの報道は「本当に強い国だけがこうした対応ができる」(共同)と
▼暖を取る時のように、身を寄せ合って一歩ずつ進もう。雨は止(や)み夜は明ける。そして“春”は必ず戻ってくる。