中日春秋
2011年3月1日
 開発陣の新人らしき若者が、確か「TNPって何のことですか」と聞く。すると、上役らしき人が確か「そんなことも知らないでここにいるのか」。そんな車のCMを、最近、テレビで見た
▼何のことはない、低燃費(TNP)のこと。多分、何でもアルファベットの略称になると格好よく思ってしまうところが日本人にはあるのだろう。でなければ、それをギャグにするCMも成立しない
▼だが、今、問題はTNPよりTPPだ。環太平洋連携協定。原則関税のない自由貿易圏をつくる構想で、シンガポールや米国など九カ国で交渉が進む。昨今、日本の参加をめぐり賛成、反対両論が喧(かまびす)しい。曰(いわ)く、「不参加なら輸出産業は大打撃」、曰く、「参加すれば農業は壊滅」…
▼しかし、賛否決めかねている国民が多かろう。それも当然。例えば「郵政、金融、医療などの分野にまで影響する」の指摘もあるが、政府の説明は不明確。「まだ全体が分からない」(平野内閣府副大臣)状態なのだ
▼いわば、まだ「TPPって何のことですか」の段階なわけで、判断には時間がいる。なのに首相は九カ国に乗り遅れるから、早々六月には参加の是非を決断するという。自身、「開国」に比すような大事に焦りは禁物だろう
▼大体、政府は、急がないと門戸が閉ざされるというが、それが腹に落ちない。TPPは「開放」が旨のはずだが…。