中日春秋
2011年2月7日
 映画は誰のものか。これは、しばしば論争になる。企画を立てる製作者、いや、作品の質を左右する監督のものだ。とんでもない、筋書きをつくる脚本家のものだろう。いいえ、観客を呼べる主演スターのものに決まっている…などと
▼さて、昨日、名古屋で行われた「トリプル投票」。結果は、名古屋市長選では河村たかし前市長が圧勝。愛知県知事選では、自民党衆院議員から転じた大村秀章さんが勝ち、市議会リコールを問う住民投票では「解散」が選択された
▼性格の異なる三つの投票。だが、市議会との対立を名目に辞職して市長選を出来(しゅったい)させたのも、自ら大村さんを担ぎ出した知事選に時期をダブらせたのも、住民投票を求めて署名運動の旗を振ったのも、すべて河村さんだ
▼トリプルとはいっても、煎じ詰めれば争われたのはただ一つ、河村さんか、否か。各候補、政党も熱演はしたが、いわば「製作・監督・脚本・主演=河村たかし」のワンマン政治劇で、他の役者が喝采を浴びるのは土台、無理だったのかもしれない
▼既に独走批判もあったが、自分は再選、敵=市議会は葬り、味方=知事も得たのだから、一層勢いづくのは当然だ。この上は、河村さんには“耳”を気遣ってもらいたい
▼「ノー」の声に聴覚を研ぎ澄ましてほしいのだ。多分、「イエス」とは逆に、どんどん聞こえにくくなるはずだから。