中日春秋
2010年12月21日
部分にとらわれると全体を見渡すことができない。何がより大事か、という優先順位にも狂いが生じかねない
▼米大リーグのコミッショナーだった故ジアマッティ氏はその愚を犯さなかったということだろう。一九八九年、スーパースターのピート・ローズさんを賭博問題で永久失格とした時、大選手への同情論もある中で、あえて厳しい断を下した意味を、こう言ったのだという。「野球より大きなものはない」
▼内紛が続く、わが政権党、民主党の方々はどうか。権力争いも彼らにとってはそれなりに「大きな」問題だろうが、さて忘れていないか。政治にとって「この国と国民より大きなものはない」ということを
▼その内紛の原因は小沢元党代表の政治とカネの問題。昨日も、政治倫理審査会への出席をめぐり、菅首相が小沢さんと会談した。「出てくれ」と言う首相に、予想通り、小沢さんは「出ない」と拒否した
▼小沢さんにも優先順位の狂いがうかがえる。せっかく自民党から奪い取ったのだから大事な大事な政権のはず。なのに頑固な拒否の姿勢には、その、より「大きな」ものを守ることより、むしろ「小沢はずし」を進める菅政権という、より「小さな」ものへの嫌悪を優先させている節がある
▼いずれにせよ、難事山積の時だ。“木を見て森を見ない”政権党に国民が不安を感じるのは当然であろう。