中日春秋
2010年12月10日
「他者との比較にとらわれるな」などとは言っても、よいことの順位で自分が上位であれば、悪い気はしないのが人間である
▼経済協力開発機構による二〇〇九年の学習到達度調査(PISA)の国別ランキングで、日本は、読解力が前回〇六年の十五位から八位に躍進、科学的、数学的な応用力もともに順位を上げ、いずれも上位十カ国入りした
▼PISAは、知識より応用力を問うもので、日本が読解力十四位に落ちた〇三年の結果は「PISAショック」といわれた。全国学力テスト実施などの対策をとってきた文科省も、今回、その苦手とされた領域での好成績に胸を張っているようだ
▼だが、これで万々歳かといえばさにあらず。日本の成績には二極分化の傾向が明らかだ。八段階の得点分布で七、八段目の下位層が平均の上位十カ国で最多。いわゆる教育格差の表れ、と見る向きもある
▼また、専門家によれば、まだまだ知識詰め込み型の学習指導も多い。あるいはPISA好成績は、文科省などが躍起になった“傾向と対策”の勝利か。自分で考え、課題を解決できる「生きる力」としての学力を養う道は、さらに探らねばならない
▼晴山陽一著『すごい言葉』で、米国の心理学者スキナーのこんな言葉に出会った。<教育は、学んだことがすべて忘れられた後に残る“何か”である>。羅針盤にならないか。