中日春秋
2010年12月7日
 吝兵衛(けちべえ)さんという御仁が、お金をためる極意を人に教える話が落語『しわい屋』にある。まずは、両手で松の木の枝にぶら下がらせ、梯子(はしご)を外す
▼次には左手を離させ、残る右手の小指、さらには薬指、中指も離させる。そして、ついには「人さし指も離せ」。言われた方が、「それじゃあ落っこちる」と言うと吝兵衛さん、親指と人さし指で丸をつくって「分かったかい。何があってもこれだけは離しちゃあいけない」
▼こちらはある面、気前のいい話か。小沢元民主党代表の資金管理団体「陸山会」が先の衆院選前、小沢支持派の候補者らに二百万円か五百万円ずつ、計四億五千万円配っていた一件
▼そのお金には、旧新生党の資金を引き継いだ政治団体が政党支部を通じて陸山会に寄付した三億七千万円も充てられていたようだ。問題は旧新生党が解散時、その団体に寄付した九億円余のうち約五億円は国からの立法事務費、即(すなわ)ち国民の税金だという点。もし、公金が一政治家の“手勢”の選挙費用に回されていたとすれば、これは間尺に合わない
▼大体、政党の解散時、公金は国に返すというルールがないのも妙だ。やはり税金である政党交付金にしても、党の解散時に「残りました」といって国に返した政党は一つもない
▼吝兵衛さんに習うまでもない。永田町の人々は、握った人さし指と親指は決して離さない。