中日春秋
2010年10月28日
 首相は、「黒船」にたとえ、官房長官は明治維新、第二次大戦後に次ぐ「第三の開国」だ、と
▼貿易や投資の自由化を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のことだ。既に米国など九カ国で枠組みの協議が進んでおり、韓国なども参加の方向。先に、首相も参加検討を表明した。ところが、民主党内で慎重論が噴出している
▼大体、政府の国内経済への影響試算もバラバラだ。参加の場合、GDPを七・九兆円押し下げるとしたのは農水省。対して内閣府は三・二兆円押し上げると正反対。経産省は不参加なら一〇・五兆円のマイナスになるとする
▼まるで将棋の王手飛車。参加なら農業が、不参加なら自動車などの輸出産業が打撃を受けそうだということは分かる。そして、いずれにせよ国内議論には恐ろしく時間がかかりそうだ、ということも
▼ところが、だ。「TPPの扉は閉まりかけており、先送りは許されない」と外相。決断のタイムリミットは来月のアジア太平洋経済協力会議だというから驚く。もう一つ、参加慎重派が首相と一線を画す小沢・鳩山支持派に多いのも気になる
▼「黒船」や「開国」並みというなら、国の行く末を左右する大問題だ。政争がらみは無論、拙速の議論も許されない。だから不可解だ。そんな大事な決断を、なにゆえ、こんなドタバタでしなければならぬことになったのか。