中日春秋
2010年10月21日
 見たこともない熱帯雨林の昆虫の百や二百が絶滅して、人間の生活に何の影響があるのか?
▼こう聞かれると、答えが難しいと、総合地球環境学研究所教授の湯本貴和さんが本紙に書いていた。なるほど、双子の環境問題である地球温暖化が自然災害増などの形で比較的「見えやすい」のに比べ、生物多様性の危機は「見えにくい」問題かもしれない
▼だが、あの問いへの答えが明確に分からないという、そのこと自体が答えになるともいえる。湯本さんも書くように、生物多様性の意味を理解しないまま破壊するというところに「真の問題」はある
▼爆弾の構造を理解しないまま、複雑な配線の切断に踏み切るようなものだろう。解除できるかもしれないし何も起こらないかもしれない。だが、爆発するかもしれない。そんな時は、とりあえず手をつけないのが上策だ。長期的にどんな影響が人間に及ぶかはっきりしない遺伝子組み換え生物にも、似たことはいえる
▼こうした問題に関する「国連地球生きもの会議」が名古屋で開催中だ。だが、先に終わったMOP5では、遺伝子組み換え生物の是非論はなく、輸出入で被害が出た場合のルール作りが議題。進行中のCOP10でも、生物資源の利用で出る利益の配分ルール作りが主で、生物の絶滅を防ぐ手だての議論は従の感じだ
▼何か、国際的ビジネス会議の印象もある。