中日春秋
2010年10月14日
ああ、落胆した。思わず、十七世紀、フランスの皮肉屋ラ・ロシュフコーの意地悪な警句が思い浮かんだ。<人の偉さにも果物と同じように旬がある>
▼米国が九月十五日に、核爆発を伴わない臨界前核実験を西部ネバダ州で実施していたことが明らかになった。この種実験を米国が行うのは二〇〇六年夏以来で、通算二十四回目だが、オバマ政権下では初めてのことである
▼いくら核爆発はなしとはいえ、そして、いくら大統領が議会に早期の批准を求めている包括的核実験禁止条約(CTBT)も臨界前実験は禁じていないとはいえ、到底容認できない。過去の大統領の時代ならいざ知らず、オバマ政権下でだけはやってほしくなかった
▼あの歴史的プラハ演説で「核なき世界」を目指すと宣言したのはオバマさん、その人。それでノーベル平和賞も受けた。超大国の影響力ゆえ、自らが核兵器廃絶運動にとっての「希望」になったのを、知らなかったとは言わせない
▼とりわけ、広島や長崎の人々がほかでもない、原爆加害国の大統領に「希望」を見出(みいだ)したということの切なさを思う。だから、今回の件は裏切りと呼ばずにはいられない
▼<何も希望しない者は幸せだ。失望もないから>と、ある英国の詩人は言った。だが、それでも希望を抱くのが人間だ。オバマさんの“旬”はもう終わり、などとは思いたくない。
2010年10月14日
ああ、落胆した。思わず、十七世紀、フランスの皮肉屋ラ・ロシュフコーの意地悪な警句が思い浮かんだ。<人の偉さにも果物と同じように旬がある>
▼米国が九月十五日に、核爆発を伴わない臨界前核実験を西部ネバダ州で実施していたことが明らかになった。この種実験を米国が行うのは二〇〇六年夏以来で、通算二十四回目だが、オバマ政権下では初めてのことである
▼いくら核爆発はなしとはいえ、そして、いくら大統領が議会に早期の批准を求めている包括的核実験禁止条約(CTBT)も臨界前実験は禁じていないとはいえ、到底容認できない。過去の大統領の時代ならいざ知らず、オバマ政権下でだけはやってほしくなかった
▼あの歴史的プラハ演説で「核なき世界」を目指すと宣言したのはオバマさん、その人。それでノーベル平和賞も受けた。超大国の影響力ゆえ、自らが核兵器廃絶運動にとっての「希望」になったのを、知らなかったとは言わせない
▼とりわけ、広島や長崎の人々がほかでもない、原爆加害国の大統領に「希望」を見出(みいだ)したということの切なさを思う。だから、今回の件は裏切りと呼ばずにはいられない
▼<何も希望しない者は幸せだ。失望もないから>と、ある英国の詩人は言った。だが、それでも希望を抱くのが人間だ。オバマさんの“旬”はもう終わり、などとは思いたくない。