中日春秋
2010年10月8日
唐の韋固(いご)という若い男が旅の途中、月の光の下、袋によりかかり本を読んでいる老人に出会う
▼韋固が袋の中にある赤縄は何か、と問うと、老人は「これで夫婦の足をつなぐのじゃ」といい、韋固の結婚相手を予言する。十四年後、彼が娶(めと)った相手は、予言通りの娘だった…。中国古典『続幽怪録』にある、お話
▼ここから、<月下老人>と言えば、カップルの縁を取り持つ人、仲人を指すようになった。飛びきりうれしいニュースの主人公になったこの方たちも、ある意味では<月下老人>かもしれない
▼米国人学者一人とともに、今年のノーベル化学賞に決まった北海道大名誉教授の鈴木章さん(80)、米パデュー大特別教授の根岸英一さん(75)。何しろ、その業績は、二つの有機化合物をくっつけるクロスカップリングで画期的な方法を開発したことである
▼有機化合物の骨格をなす炭素は、非常に頑丈だがくっつけるのが難しい。そのやっかいなカップルを“縁結び”する鈴木さんらの卓越した手法は、既に、エイズ治療薬からテレビ画面の液晶まで実に幅広い分野で活用されているという
▼いわば、鈴木さんらの足は、ノーベル賞と<赤縄>で結ばれていたわけだが、この分野は、研究の礎を築き、あるいは発展させてきた多くの研究者がいる日本の「お家芸」だという。その方たちの功績にも大きな拍手を送りたい。
2010年10月8日
唐の韋固(いご)という若い男が旅の途中、月の光の下、袋によりかかり本を読んでいる老人に出会う
▼韋固が袋の中にある赤縄は何か、と問うと、老人は「これで夫婦の足をつなぐのじゃ」といい、韋固の結婚相手を予言する。十四年後、彼が娶(めと)った相手は、予言通りの娘だった…。中国古典『続幽怪録』にある、お話
▼ここから、<月下老人>と言えば、カップルの縁を取り持つ人、仲人を指すようになった。飛びきりうれしいニュースの主人公になったこの方たちも、ある意味では<月下老人>かもしれない
▼米国人学者一人とともに、今年のノーベル化学賞に決まった北海道大名誉教授の鈴木章さん(80)、米パデュー大特別教授の根岸英一さん(75)。何しろ、その業績は、二つの有機化合物をくっつけるクロスカップリングで画期的な方法を開発したことである
▼有機化合物の骨格をなす炭素は、非常に頑丈だがくっつけるのが難しい。そのやっかいなカップルを“縁結び”する鈴木さんらの卓越した手法は、既に、エイズ治療薬からテレビ画面の液晶まで実に幅広い分野で活用されているという
▼いわば、鈴木さんらの足は、ノーベル賞と<赤縄>で結ばれていたわけだが、この分野は、研究の礎を築き、あるいは発展させてきた多くの研究者がいる日本の「お家芸」だという。その方たちの功績にも大きな拍手を送りたい。