中日春秋
2010年9月23日
古名あくたむし、つのむし。漢字では蜚〓。ちゃんと季語辞典にも載っている夏の季語…。こう書くと、何かよそよそしいが、おなじみのゴキブリのことである
▼姿を現しただけで悲鳴を上げられるのだから、ちょっと気の毒な連中だ。黒褐色の体の、あの妙な光沢のせいか、せせこましい走り方のせいか、あるいは<さわると臭い>(新明解国語辞典)からか、とにかく不人気ぶりは甚だしい。ことにご婦人には嫌われている
▼斎藤史さんに<佳(よ)き声をもし持つならば愛さるる虫かと言ひてごきぶり叩(たた)く>の歌があるけれど、声ぐらいで評価は変わるまい。あの姿のまんまで、変にきれいな虫の音など奏でられてはかえって逆効果という気もする
▼そういう彼らだから、その新聞記事は印象に残った。というか、痛快な感じがした。英国の大学の研究チームが、ゴキブリの脳組織に強力な殺菌作用があることを突き止めたのだという(毎日)
▼「清潔でないところにすむ昆虫が多様な細菌から身を守る力を持っているのは当然」(チーム)と言われれば、その通りだが、不潔な嫌われ者のイメージと殺菌力の取り合わせは、やはり意表を突く
▼耐性菌に対しても殺菌効果が確かめられ、新たな抗生物質誕生につながる可能性もあるという。人間様が「今までごめんなさい」とゴキブリに頭を下げる日も遠くないかもしれない。
2010年9月23日
古名あくたむし、つのむし。漢字では蜚〓。ちゃんと季語辞典にも載っている夏の季語…。こう書くと、何かよそよそしいが、おなじみのゴキブリのことである
▼姿を現しただけで悲鳴を上げられるのだから、ちょっと気の毒な連中だ。黒褐色の体の、あの妙な光沢のせいか、せせこましい走り方のせいか、あるいは<さわると臭い>(新明解国語辞典)からか、とにかく不人気ぶりは甚だしい。ことにご婦人には嫌われている
▼斎藤史さんに<佳(よ)き声をもし持つならば愛さるる虫かと言ひてごきぶり叩(たた)く>の歌があるけれど、声ぐらいで評価は変わるまい。あの姿のまんまで、変にきれいな虫の音など奏でられてはかえって逆効果という気もする
▼そういう彼らだから、その新聞記事は印象に残った。というか、痛快な感じがした。英国の大学の研究チームが、ゴキブリの脳組織に強力な殺菌作用があることを突き止めたのだという(毎日)
▼「清潔でないところにすむ昆虫が多様な細菌から身を守る力を持っているのは当然」(チーム)と言われれば、その通りだが、不潔な嫌われ者のイメージと殺菌力の取り合わせは、やはり意表を突く
▼耐性菌に対しても殺菌効果が確かめられ、新たな抗生物質誕生につながる可能性もあるという。人間様が「今までごめんなさい」とゴキブリに頭を下げる日も遠くないかもしれない。