中日春秋
2010年8月25日
部屋に閉じこもりすぎるのもよくないと、夫は病後の妻の過ごし方を気遣い<大気の中で陽に面を向けて堂々と暮すのは…立派な健康な生活の仕方だ>とつづっている
▼夫-後の日本共産党議長宮本顕治。妻-小説家百合子。夫が治安維持法違反で投獄され、獄中にあった十二年間に夫妻間で膨大な数の手紙が交わされたことはよく知られる。これは、昭和十一年に書かれたその中の一通(梯久美子著『世紀のラブレター』)
▼暗く閉ざされた世界にいる夫が、お日様に当たるようにと妻に養生を呼び掛ける。一方で自分の健康は<決して心配しないで>と告げるのだから、やはりこれはラブレターだ
▼こちらは、さらに陽光の遠い地下七百メートルに閉じ込められた夫から妻への手紙である。夫とは、南米チリ北部で起きた落盤事故で“奇跡”の生存が確認された三十三人の労働者の一人
▼事故から実に十七日後、捜索のため地中深くに入れたドリルを引き上げてみると、そこには全員が地下避難所にいて無事だとのメモと、彼が書いた妻への手紙の入った袋が…。<いつも君のことを思っている…わたしは大丈夫だ>
▼彼の妻は無論、同僚の家族らにとっても、地下から日の光が差したようなこれ以上ない“ラブレター”だったろう。救出には四カ月を要すが、既に通信や食料補給は可能という。再会の日の早からんことを祈る。
2010年8月25日
部屋に閉じこもりすぎるのもよくないと、夫は病後の妻の過ごし方を気遣い<大気の中で陽に面を向けて堂々と暮すのは…立派な健康な生活の仕方だ>とつづっている
▼夫-後の日本共産党議長宮本顕治。妻-小説家百合子。夫が治安維持法違反で投獄され、獄中にあった十二年間に夫妻間で膨大な数の手紙が交わされたことはよく知られる。これは、昭和十一年に書かれたその中の一通(梯久美子著『世紀のラブレター』)
▼暗く閉ざされた世界にいる夫が、お日様に当たるようにと妻に養生を呼び掛ける。一方で自分の健康は<決して心配しないで>と告げるのだから、やはりこれはラブレターだ
▼こちらは、さらに陽光の遠い地下七百メートルに閉じ込められた夫から妻への手紙である。夫とは、南米チリ北部で起きた落盤事故で“奇跡”の生存が確認された三十三人の労働者の一人
▼事故から実に十七日後、捜索のため地中深くに入れたドリルを引き上げてみると、そこには全員が地下避難所にいて無事だとのメモと、彼が書いた妻への手紙の入った袋が…。<いつも君のことを思っている…わたしは大丈夫だ>
▼彼の妻は無論、同僚の家族らにとっても、地下から日の光が差したようなこれ以上ない“ラブレター”だったろう。救出には四カ月を要すが、既に通信や食料補給は可能という。再会の日の早からんことを祈る。