中日春秋
2010年2月10日
 誰かを励ましたい時、軽い気持ちでよく使う言葉といえば、「頑張れ」だろう。だが、使い方は簡単ではない
▼逆に相手を傷つけてしまうこともある。医師鎌田實(みのる)さんもある時、重篤な患者らについ言ってしまう「がんばろう」という言葉の厳しさに気づき、はっとなった経験を自著に書いている。それは、病院内の展示で知的ハンディのある人が書いた「がんばらない」という書を見た時だったという(『がんばらない』)
▼苦境にある人に「頑張れ」と言う時、「まだ頑張れるはずだ」と無理を強いるニュアンスが入り込みかねないのは確かだ。言われた方が、「もう限界なのに」と傷ついたり、逆に反発を感じることもあるだろう
▼この一件も、別の意味で、この言葉の微妙さを表していようか。例の事件で自身が不起訴になった小沢さんは、一昨日、民主党の党首である首相が、幹事長に留(とど)まることを諒(りょう)とし「頑張ってください」と言われたと語った
▼ところが昨日、鳩山さんは「そんな言葉は使っていない」とわざわざ否定した。確かに世論の大勢は辞任を求めている。それを意識し、本人がやると言い張るから…とでも言いたかったのか
▼広辞苑によると、「頑張る」は当て字で「我に張る」の転。だから我意を張り通す、が第一義だ。つまり、こんな使い方である。「身は潔白だから幹事長に留まると頑張る」