中日春秋
2010年1月1日
明けましておめでとうございます。寅(とら)年にちなんで、まず一つ、中国の古い説話を
▼虎が三頭の子を産むと、一頭は獰猛(どうもう)な彪(ひょう)になるとされ、目を離すと、ほかの子を食べてしまう恐れがある。親が苦心するのは川を渡る時だ。親はまず彪を向こう岸へ連れていき、次に別の一頭を渡す。その帰りに彪を、元いた岸に連れ戻り、残っていた子を対岸へ。最後にもう一度戻って彪を対岸に渡すのである
▼この説話から<虎の子渡し>といえば、苦しい生計をやりくり算段するたとえである。年は改まっても、経済情勢の厳しさがすぐ改まるわけはない。今年も当面は、あらゆる場面で<虎の子渡し>が避けられないだろう
▼取引の大半を占める自動車メーカーからの注文が絶え、危機に瀕(ひん)したある中小企業の話を、少し前、本紙の地方版で読んだ。苦しかったが、その中で社員の意識改革ができ、別業種の仕事も開拓、自動車依存を脱却できたという。社長曰(いわ)く、「大変だったが会社が強くなった」
▼俳句や短歌も字数が限られ、言葉のやりくりをするしかない条件下で発展してきた。余裕綽々(しゃくしゃく)よりむしろ、厳しいやりくりから開かれる新たな地平もあるのではないか。それに期待して、この一句。<今年はと思ふことなきにしもあらず>子規
▼小欄は、一日早く、今日が“書き初め”。また一年、よろしくおつきあいを願います。
2010年1月1日
明けましておめでとうございます。寅(とら)年にちなんで、まず一つ、中国の古い説話を
▼虎が三頭の子を産むと、一頭は獰猛(どうもう)な彪(ひょう)になるとされ、目を離すと、ほかの子を食べてしまう恐れがある。親が苦心するのは川を渡る時だ。親はまず彪を向こう岸へ連れていき、次に別の一頭を渡す。その帰りに彪を、元いた岸に連れ戻り、残っていた子を対岸へ。最後にもう一度戻って彪を対岸に渡すのである
▼この説話から<虎の子渡し>といえば、苦しい生計をやりくり算段するたとえである。年は改まっても、経済情勢の厳しさがすぐ改まるわけはない。今年も当面は、あらゆる場面で<虎の子渡し>が避けられないだろう
▼取引の大半を占める自動車メーカーからの注文が絶え、危機に瀕(ひん)したある中小企業の話を、少し前、本紙の地方版で読んだ。苦しかったが、その中で社員の意識改革ができ、別業種の仕事も開拓、自動車依存を脱却できたという。社長曰(いわ)く、「大変だったが会社が強くなった」
▼俳句や短歌も字数が限られ、言葉のやりくりをするしかない条件下で発展してきた。余裕綽々(しゃくしゃく)よりむしろ、厳しいやりくりから開かれる新たな地平もあるのではないか。それに期待して、この一句。<今年はと思ふことなきにしもあらず>子規
▼小欄は、一日早く、今日が“書き初め”。また一年、よろしくおつきあいを願います。